携帯戦記カプセルギア　外伝「なにげない、ひととき」｜リアクション

携帯戦記カプセルギア　外伝「なにげない、ひととき」

●●●旗の行方●●●
「今日はどんなバトルしようかな？　ね、ニャーサー」

　旧市街の一角の遊び場にまた一人ギアマスターが現れた。
　熱い戦いをするギアマスター達とカプギア達を眺めながら歩くのは滝原カノン。
　彼の愛機、キングニャーサーと共にとある遊び方をしている組を発見する。

「フラッグバトル？　何それ楽しそう！」

　1対1で赤と白の旗を取り合い、自陣に戻すと得点になるというアレンジルール。
　シンプルなようで奥深い戦いが楽しめそうだと目を輝かせるカノン。
　その様子を見た観客の一人が良かったら一緒にやろう、とカノンを誘ってくれた。

「わーい！　ありがと！」

　一にも二にもなく快諾するカノン。運が良いことにすぐ対戦が出来るようにしてくれた。
　内心のワクワク感を隠さずに所定の位置にキングニャーサーを置き、スマホを構える。
　バトルスタートの合図とともにレッグ、ナイツオブラウンドで爆走するキングニャーサー。

「もーらいっ！！　へへ、ニャーサーはスピード型だからね！　こういうの得意なんだ！」

　キングニャーサーが手にした1点と言われた白旗を軽快に自陣へと戻す。
　機動力を重視するナイツオブラウンドの能力を遺憾なく発揮し、次の白旗を手に入れる。
　幸先が良い、と自陣へと向かう時にそれは起こった。

「危なっ！！」

　相手である緑の虫型カプギア。伸ばした手の先から出ているのは蜘蛛が吐くような糸。
　そして糸に絡まったキングニャーサーの持っていた白旗は相手の陣地へと置かれてしまう。
　キングニャーサーに直撃はしていないが、直撃時にどうなるか分からない。

「う～、今度はこっちの番だ！！」

　見れば蜂のような別働する装備が2点とされる赤旗を持ち、相手の陣地に向かっている。
　キングニャーサーはかの有名な伝説の剣を象ったRアーム、ニャクスカリバーを構える。
　持てるスピードをすべて出し、蜂型装備へとニャクスカリバーを振るえば衝撃波となって赤旗が落ちる。

「よしっ！！　そのまま貰ってくぞ！！」

　勢いをそのままにキングニャーサーは赤旗を回収、蜂型装備の再起動前に自陣へと戻ってこれた。
　対する緑のカプギア、本体はゆっくりとした動きで別の白旗の近くへ移動している。
　静と動、時折見せる激動、それもカプギアの魅力の一つである。

「またかっ！　いや、違うっ！？」

　白旗を手に入れたキングニャーサーに再度蜘蛛の糸が飛んできた。
　ヘッド、キングスクラウンのセンサーが上手く働き回避できたかのように思った。
　しかし、白旗狙いとの考えが外れ、自陣への道を阻害するように糸が設置された。

「なるほどね！！」

　罠が設置されたとしても怯まないカノン、そしてキングニャーサー。
　どうせなら、と白旗をその場に置くと近くの赤旗を目指して移動をし始めた。
　予想外の行動に相手のギアマスターは戸惑うような表情を浮かべ、緑のカプギアの動きが鈍る。

「どんどん行くよ！！」

　赤旗を回収できたキングニャーサーは先ほどの白旗と同じところに置く。
　すると白旗に隠れていた蜂型装備に急襲されるも動きを見逃していないカノンには効かなかった。
　十字模様のあしらわれた盾のLアーム、クロスシールドで弾いて緑のカプギア側に押しやる。

「よしっ！！　そして盾を…っと」

　クロスシールドを蜘蛛の糸の上に置き、少しだけ自陣に近づくと手に持っていた旗を投げる。
　自陣に旗を入れることができて得点となり、ちょうどのタイミングでタイムリミットとなった。
　そして勝者は。

「やったー！！」

　ギリギリで勝利を掴んだキングニャーサーを抱き上げたカノン。
　相手からも称賛の拍手をもらい、お互い握手を交わして次の戦いへと移っていくのであった。

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