寝子島がカジノになっちゃった！？｜リアクション

寝子島がカジノになっちゃった！？

◆読み合いの妙

「まるでラスベガスかマカオみたい」

　仙藤蒼は普段と違う寝子島を見て、真っ先にそう呟いた。この感想は平凡かもしれないが、一番的確だろう。
　猫の客引きに誘われるままにカジノの中に入ってみると、そこには映画や漫画などでしか見たことのない空間が広がっていた。豪華な装飾が彩りを与え、その下で様々なゲームが展開している。

（……従業員が猫であることを除けば）

　どこを見ても猫がディーラーをやっている。
　それに実際のお金ではなく肉球の描かれたコインでやりとりしているようなので、ギャンブルというよりもゲームセンターのようなゆるい雰囲気だ。それならば純粋に、ゲームを楽しむことに集中しようと思った。

（どんなゲームがあるかな？）

　ギャンブルで扱われるようなゲームはだいたい揃っていた。そのなかで蒼はポーカーを選択した。
　ポーカーは心理戦の要素が強い。相手よりも強いハンドを作れば勝ちではあるが、それはお互いの手札を公開するまで分からない。言い換えれば、相手に勝てないと思わせて、ゲームから降りさせることができれば勝つことができる。
　ハンドの強さに関わらず勝てるから、勝ち負けの数よりも勝った時のチップを多くして、負けた時の損失を最小にする戦術が重視される。

（こういうのは私の得意分野だから大丈夫！）

　蒼が自信満々にテーブルに着くと、さっそくカードが配られる。何度かゲームを繰り返し、少しずつコインを貯める。この種の駆け引きはブラフを仕掛ける際には状況を読んだうえで、大胆にベットしたり、時には慎重に立ち回っていく。
　そうして小さく勝ったり負けたりを繰り返す。そして負けが込んできた時こそ、大きな手を出せるように見せたり、実際に大きな手をだして相手を心理戦のテーブルに引き込む。
　蒼はこの駆け引きで最終的には1000枚ほどコインをゲットした。

「何と交換しようかな」

　彼女はウキウキ気分で交換所にやってきた。そこには猫を模したチョコやキャンディなどのお菓子類。猫のキーチェーンやペンなど、実用性のある雑貨。あとディーラー姿の猫ぬいぐるみなど様々な種類の景品が置かれていた。
　少し考えてからキーチェーンとボールペンを１つずつ交換し、残りはお菓子類から好みのものを選んだ。

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