寝子島がカジノになっちゃった！？｜リアクション

寝子島がカジノになっちゃった！？

◆向き不向き

　青山絢と水谷真優理は『たまには外で夕食を取ろう』ということで外に出た。すると寝子島が普段と明らかに違う雰囲気になっていた。
　夜を照らすライトが煌々と輝き、不自然なほど明るい。あちこちでカジノが出来たような雰囲気になっていた。

「なんだか楽しそう」

　真優理はネオンの輝きを眺めながら呟いた。

「今夜は外食するつもりだったけど、その前に軽く遊んでいかない？」
「はいはい」

　その誘いに絢は苦笑いを浮かべつつ了承した。ひとまず２人は目に付いた適当な建物に入ってみる。そこは豪華絢爛な内装の、上品な空間だった。

「これってもう完全にカジノよね……？」

　絢は視線をきょろきょろと泳がせる。従業員が全員猫であることを除けば、間違いなくカジノだった。

「ディーラーも黒服もバニーガールもみんな猫。猫がカジノやってるなんてかわいいじゃない」
「そうだね」

　ここは特に危険な様子もないので、安心して遊べそうだ。

（こんなところへ普段着で入ってしまって、なんか浮いてるかも……）

　カジノにもドレスコードがあるが、ここでは普段着の人が多いように見えた。
　そんな絢とは対照的に真優理は嬉しそうだ。彼女は賭け事が好きなようだ。早速コインを２人で合わせて２００枚受け取る。最初に選んだゲームはシックボーだ。
　シックボーは、ディーラーが振る3つのサイコロの出目を予想するゲーム。絢は『大小』の『大』に５枚、真優理は『トリプル』で１のゾロ目に１０枚賭ける。『大』はダイスの合計が１１以上になれば２倍、『トリプル』は当たれば１８１倍だ。

「つまり当たれば１８１０枚！」

　真優理はわくわくした気持ちを口に出す。ディーラーがサイコロを手にするとカップに入れて回し、台に伏せた。緊張の一瞬。開けられたサイコロは６、６、３の合計１５だった。絢は１０枚獲得し、逆に真優理は没収された。

「つ、次いきましょ！」

　それから３ゲームほど続けたが、真優理は負け続け、最初の１００枚はあっという間に蒸発した。そこで１００円で新たに２００枚のコインを受け取る。

「シックボーは相性が悪かったのよ」

　そう言って次に向かった先はブラックジャック。合計が２１に近づくようにカードを引いていき、数字の大小をディーラーと競う。

「カードゲームなら任せて！」
（大丈夫かな……）

　絢の心配をよそに、真優理は自信満々だ。
　ディーラー猫がトランプを２人に２枚ずつ配る。絢は１枚追加して合計２０。ディーラーは１９でストップ。真優理はカードを追加した結果、２２となりバースト。

「なんでぇ……」

　これも３ゲームやったが、真優理は悉くバーストした。
　その後も花札にスロットにポーカーにルーレット。色々とやってみたが、真優理はどれも勝てなかった。どうやら彼女にはギャンブルの才能が無かったらしい。

「……あれ？」
「ん？」
「絢ちゃんはなんでそんなにコインがあるの！？　ギャンブルの天才！？」
「えー……」

　絢はこれまでのゲームで細々と勝ちを拾い続けていた。
　塵も積もればなんとやら。最初の時点からずっとコインが増え続けていた。

「あと１回！　あと１回だけ！」

　真優理がムキになっているのは明らかだった。
　絢はそんな彼女をどうにか宥めて撤収準備を始める。カジノを出る前に、最後に交換所へ寄った。２人とも手持ちのコインを確認して、絢はキーチェーンやぬいぐるみを、真優理はキャンディやチョコと交換した。

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