月夜の夜祭り、鬼ごっこ｜リアクション

月夜の夜祭り、鬼ごっこ

　龍樹は、偶然出会った莉鳥に協力を仰ぐことに成功した。
「分かったわ。私は飛べるようになったみたいだから、上空から探しましょう」
（クールなお姉さんだ）
　かわいい系やキレイ系、ギャル＆元気系のどれにも当てはまらないタイプである。
　捕縛用の焼きそばを購入後、龍樹は莉鳥の手に掴まって、上昇した。
「……すっげー！　この祭りってどこまで続いてるんだろ」
「不思議な光景ね……」
　高いところから見える祭り会場。
　夜店の並びはずっと先、地平線まで続いているのではないかと錯覚するほどに長かった。
「あ！　鬼っ子発見」
「どこ？」
「ほら、お好み焼きの屋台のところ」
「良いのね？」
「任せてくれよ！」
　作戦通り、莉鳥が急降下を開始、走り回る鬼の子の背中へ近づく。
「よし、今だ!」
　莉鳥は合図と共に龍樹から手を離した。その瞬間、龍樹の姿は一瞬消え、鬼の子の前へ出現。
「ここは行き止まりだー！！」
「！！」
　鬼の子は驚いて方向転換をするも、空から着地した莉鳥に塞がれる。
「残念だけど、通行止めよ」
　鬼の子は焦っているようだ。
「今度こそ！　あ、こら待て待てー！」
　鬼の子と龍樹の後を追いながら、焼きそばを用意する。
「ほら、いちご飴もあるぞー！」
　龍樹がポケットから棒付きのいちご飴を取り出し振る。
　ぴくりと反応して振り返る鬼の子。
「もしかして、それ、りんごあめと一緒に売ってた？」
「そう、同じ店！」
　りんご飴のいちごバージョンである。
　と、そうこうしているうちに、鬼の子が指をくわえながら、足を止め。
（焼きそば、いらない、かもしれないわね）
　龍樹が近づいてきた鬼の子にいちご飴を渡すと同時に、
「捕まえた！」
「捕まえたわ！」
　龍樹と莉鳥が両肩をタッチしたのだった。

　数時間後。
　龍樹と莉鳥は寝子島のどこかに立っていた。
「……戻ってこられたのね」
「なんだかんだ楽しかったー！」
　龍樹は先程まで遊んでいたカプセルギアをポケットへ。鬼の子がカプセルギアに興味を持つのは意外だった気がする。
「姉ちゃん、サンキューな！」
「こちらこそ。……それじゃ、気をつけてね」
「おう、姉ちゃんもな！」
　祭りの味を思い返しながら、二人は分かれた。

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