桜台農園で、わくわく♪栗拾い｜リアクション

桜台農園で、わくわく♪栗拾い

　小学６年生の古尾桐子は、張り切っていました。
「今日はとーちゃんとお出かけ楽しみッス！　ウチ栗拾いは初めてだからワクワクするッスー！」
　父と二人暮らしの桐子にとって、お休みの日に親子で出かけるのは貴重な機会です。
　栗拾いができると聞いて、父に頼んで連れてきてもらったのでした。
「とーちゃん！　いっぱい栗食べたいから気合いれて拾うッスよ！」
「ちゃんと準備するんだぞ」　
「わかったッス」
　いい返事をした桐子ですが、いざ栗林についてみると。
「おー！　すっげーいっぱい栗が落ちてるッス！　それじゃ張り切って拾うッス！　とつげきー！」
　夢中で走りだそうとするところを、むんずと父につかまれました。
「おっとっと、軍手とスニーカーつけるの忘れてたッス！」
　慌てて準備を済ませて。
「危ない危ない、それじゃ改めてとつげきー！」
　栗に向かっていくのでした。

　やれやれと後に続く父に、桐子は上機嫌に話します。
「お、こっちの栗でっけーッス！　とーちゃん、どっちが大きい栗拾えるか勝負ッス！」
　そう言って栗をつまんでカゴに入れようとした時、イガの割れ目からにょろりと何かが顔を出しました。
「あ！　この栗虫が入ってたッス！　虫もうめーって思うくらいいい栗って事ッスね！」
　普段から男の子と遊ぶことも多い桐子は、平気で虫をつまみあげました。
「ひっ……」
　思わず父親が引いた様子を目ざとく見つけて。
「ん？　とーちゃん虫にビビってるッスか？」
　摘まみだした虫を父親に突きつけます。
「うりうりー、虫ッスよー♪」
「や、やめなさい」
　はしゃぎつつ、二人は栗拾いを楽しむのでした。

「はー、いっぱい栗拾ったッスー」
　カゴにたくさんの栗を集めた桐子は、カフェの看板を見つけました。
「お、あそこで栗をゆでてもらえるんッスね。早速ゆでてもらうッス！」
　走り出す桐子に、後を追う父。
　二人はカフェの席に着いて栗が茹でられるのを待ちました。
「ゆでたての栗を食べてみるッスよー！」
　やけどしないようにさましながら、できあがった栗の皮をむき、ぱくり。
「おお、流石ゆでたて美味いッス！」
　満足そうに食べる桐子ですが、何か思いついたらしく目を輝かせました
「この栗でくりきんとんが食べてみたいッス！　とーちゃん、帰ったらくりきんとん作ってッスー！」
「栗きんとんか……」
　ちょっと考えて、父は桐子に笑顔を向けました。
「それじゃ、桐子も手伝うんだぞ」
「やったッスー！」

　栗きんとんを楽しみにしながら、桐子は父と栗林を後にするのでした。

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