はちゃめちゃ寝子中日記♪｜リアクション

はちゃめちゃ寝子中日記♪

　半ば感心したように葉月朱真は展示物を見て回る。添えられた解説の全てに目を通した。
「もう、こんな時間か」
　館内に置かれた時計を見て急に足を速めた。当初の目的を思い出したかのようにプラネタリウムへと足を踏み入れた。
　多くの席は中学生で埋められていた。空いた席に朱真は座った。幼い見た目もあって周囲と上手く馴染んだ。
　やがて照明が落とされた。私語はなくなり、静謐な宇宙に相応しい場となった。
　丸い天井に煌びやかな星々が映し出される。感激した声が、そこかしこで聞かれた。
　朱真は笑みを湛えて宇宙と向き合った。耳に心地よいアナウンスを聞きながら青い瞳を潤ませていく。
　太陽系以外の銀河に切り替わった。朱真の意識が右手に流れた。そこの席は空いていて誰も座っていない。
　その目がとても優しくなる。
　――ひとりで楽しむのも良いものだ。和光さんが一緒だと天体ショーに集中できないからな。
　朱真はアナウンスの声に意識を傾ける。場面が切り替わった直後、また隣の空席に目を向けた。
　アナウンスに誘われ、広大な宇宙を巡る。宇宙飛行士の気分を満喫して場内は明るくなった。
「これからミニクイズを出します。答えがわかった人は、その場で挙手をお願いします」
　聞こえてきたアナウンスに、えー、と男子達が声を上げた。その声に驚いて目を覚ます女子がいて、もう朝？　という寝ぼけた声に場は和んだ。
　場が静まったところでアナウンスが入る。
「夜空を彩る春の大三角は『スピカ』と『デネボラ』と、あと一つはなんでしょう」
「スピカだったら知ってたんだけど」
「俺も」
　朱真は周囲を見たあと、軽く手を挙げた。
「アルクトゥルスだと思う」
「はい、正解です。博識な中学生にお姉さんもびっくりです」
「いや、わたしは……まあ、いいが」
　それ以降も問題は続く。手を挙げる者がいない為、全ての問題を朱真が答えた。
　最後は難問だった。
「全星座の中で唯一の川の星座を答えてください」
　朱真は顎先に曲げた人差し指を当てて、エリダヌス、と控え目に答えた。
「大正解です！　皆さん、盛大な拍手をお願いします！」
「すごいよ！」
「聞いたことないよ！」
「星座博士が爆誕した！」
　絶賛の中心にいた朱真は、どうも、と身を縮めて言った。
　後ろの席にいた佐藤瀬莉は笑顔で拍手を送る。
「楽しい時間のおかげで、全然、眠くならなかったよ！」
「そうだよね」
　右隣の少女もにこやかに両手を叩く。
「……次はいつ来れるかな」
　瀬莉は丸い天井を見て微笑んだ。

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あとがき

担当マスター：黒羽カラス
ファンレターはマスターページから！

　中学生の遠足は無事に終わりました。
　宇宙科学館では目いっぱい宇宙に浸れたことと思います。
　館内で撮られた写真は良い思い出になるでしょう。
　宇宙飛行士姿の記念写真や無重力体験なども今後の人生に、
　何かしらの影響を与えるかもしれません。

　プラネタリウムの最後はクイズコーナーになりました。
　難問が続きましたが中学生の見た目の彼女が活躍しました。
　大いに盛り上がって、遠足は思い出のアルバムの一頁になったことでしょう

　最後になりましたが、ご参加、ありがとうございました。
　また別のシナリオで、お会いできることを願っています。

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