遠足♪　小学生、遊びの森へ｜リアクション

遠足♪　小学生、遊びの森へ

「遊園地もたのしいけど、やっぱりアスレチックがたのしみなんだよだよ！」
　ひとしきり遊園地を楽しんだ玲音たちは、アスレチックへ向かった。

「立体迷路、面白そうだねぇ」
「そうだね、みんなちゃんとついてきてね！」
　瑠樹と奏子の班は立体迷路に入った。
「こっちに行ってみようよ」
　壁は高く、先を見通すことはできない。
　適当に進んでいたが、だんだん方向がわからなくなってきた。
「ちょっと、ここ見おぼえない？」
「あれぇ、ここさっきも来たかねぇ……まぁいっかぁ！」
　迷って首をひねりながらも、瑠樹は楽しそうだ。
「あー、また行き止まり！　今度こそ！」
　奏子は悔しがり、先頭に立って扉をどんどん開けていく。
「絶対ゴールまでたどり着くんだから！」
　あっちへ行って行き止まり、こっちへ行って分かれ道で迷い。
　それでも何度も何度も挑戦して、ついに。
「出口だー！　やったぁ！」
　みんなほっとして歓声を上げた。

　
　玲音は、先頭に立ってアスレチックを楽しんでいた。
「こういうわくわくするのは大好き！」
　自転車でかッとびまくっている玲音のバランス感覚は抜群だが、先を急ぐあまり慎重さには欠け、時々落ちてしまう。
「だいじょうぶ？」
　千恵が心配して声をかけるが、玲音はけろっとしている。
「落ちても楽しー！　くりあできたらもっとたのしー！　いっぱいるーぷしたいんだよだよ！」
「よかった。ケガしないよう気をつけてねー」
　千恵は、次はどこをつかんでどこに足を置いたらいいか考えながら、しっかり観察して登っていく。
「かんなちゃん、だいじょうぶ？」
　かんなはあまり運動が得意ではないようで、何度も止まって遅れながらついてくる。
「べ、べつに大丈夫だから！　私のペースで行くから……先に行って」
　額に汗をにじませて精一杯声を張り強がるかんなを、千恵は心配そうに見守る。
（手を貸したら、嫌がられるかな？）
「急がなくても大丈夫だよ、一緒に行こう」　
　先頭を行く玲音のほうを見ると、近くには先生がいて、ちゃんと見守ってくれるようだ。
　千恵はかんなと一緒にゆっくり行くことにした。

　普通のアスレチックをクリアした玲音が次に向かったのは「天狗の道」だった。
「高ーいところを渡り歩けるって楽しいよね！」
　さっきのアスレチックで落ちた失敗で学習した玲音は、今度は少し慎重になる。
「あぶないところは慎重に、でもだいたんに！　ぽんぽんぽんとわたるんだよだよ！」
　それでも大胆さは健在だ。
「あっ、先生！」
　下のほうで手を振る先生に気づき、手を振り返す。
「先生、高いところの写真とってもらえないかな？　かな？　きっといいいしゃしんになるんだよー！」
　言われるまでもなくカメラを構えている先生。
　笑顔の玲音たちを、しっかり写真に収めた。

「なが～いつり橋だねぇ。気を付けて渡るよぉ」
　瑠樹と奏子の班は、つり橋に挑戦していた。
「こわいよ～」
　一年生の女の子が、泣きそうな顔で進めなくなってしまった。
「下を見ちゃだめよ！　だいじょうぶ、自信もって！」
（私が怖がった時お姉ちゃんはなんて言ってくれたっけ？）
　そんなことを思い出しながら、奏子が勇気づける。
　瑠樹は、のんびりと声をかけた。
「オレもついてるから、少しずつ……無理しないで、一緒に渡ろうなぁ」
　半べその女の子に、抱えていたぬいぐるみを見せる。
「ほら、うさぎさんも応援してるよぉ」
　瑠樹はこっそり、ろっこん『ゆるゆる和みと恩恵の輪』の力を女の子に向けた。
　泣きそうだった女の子の顔が和んでいく。
「うん……うさぎさんといっしょにいく」
「えらい！」　
　無事歩き出した女の子を見て、ほっとしながら奏子も声をかけるのだった。

このページにイラストを設定する