台風襲来！｜リアクション

台風襲来！

▲台風直撃！

　無事アパートに戻った花音は、巻き尺で板の長さを測っていた。
「これくらいあれば大丈夫だろう」
　釘をポケットに突っ込み、軍手をして、梯子を持って。
「いざ！」
　と、家の外に出てみれば。
「うわっ！」
　外は見事に豪雨となって大荒れだった。
　ザーッ！
　避ける間もなく雨が一気に襲いかかってきて、花音は気づいた。
（やば、雨は……！）
　時すでに遅し。
　ドチャリ。
　手に持っていた補強道具は全部地面に落ちた。
　雨に濡れて呆然としているのは、体長２m強の大きな狼。
　雨に当たったことで花音のろっこん『Lycanthrope』が発動してしまった。
（動き出すのが遅かった……）
　後悔先に立たず。
　仕方なく道具を一つ一つ咥えながら家に戻る。
　台風が幸いして人に見られることはなかったが。

　天井からポタポタと無情な雨漏りが落ちてくる。
　それをムスッとした顔で見つめながら、狼姿の花音は仕方なくふて寝することに決めたのだった。

　猫鳴館では、惨事が起きていた。
　ガチャン！
「今度はどこ？！」　
　あっちこっちで窓が割れたり、雨漏りがしたり。
　ＬＥＤライト付きヘルメットをかぶった想花は、先輩たちと共に工具やらビニールシートやら板切れやらを持っては応急修理に走り回っていた。
　ゴオーッ！
「壁に穴が開いた！　救援求む！」
「もう、しっちゃかめっちゃかだよう……」
　吹き込んできた雨に濡れた眼鏡を軍手でぬぐい、板で穴を押さえる。
　トントン……
「どうにかふさがった、かな？　ここは修理完了……」
　ほっとする間もなく。
　ドザーッツ！
　新たな異音がして、嫌な予感に満たされる。
「今度は屋根に大穴が開いた？　もうやだ……」

　猫鳴館の騒動は、台風が去るまで続いたのだった。
　ちなみにブルーシートはぎりぎり間に合い、綾花の買ってきたシートは次回用に回されることとなった。

　

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