シーサイド★ハンバーガーグランプリ｜リアクション

シーサイド★ハンバーガーグランプリ

●食べ比べ

「待ってたぜぇ！　この瞬間（とき）をよぉ！」

　水守流は寝子ヶ浜海浜公園の特設会場で力強い声をあげた。ここでは『シーサイド★ハンバーガーグランプリ』が行われている。

「全国各地のハンバーガーが勢揃いのこのイベント、開催するのをずっと楽しみにしてたんだぜ。さーて、どのバーガーからいってみっかなー」

　ウキウキした足取りで会場内を歩く。辺りには美味しそうな匂いが漂っていて、食欲を刺激する。

「お、北海道ザンタレバーガー！　そしてこっちは寝子島鳥のチキンカツバーガー！　同じチキンを揚げたバーガーが相対している！」

　流は２つのバーガーを見比べた。
　北海道では鶏の唐揚げを『ザンギ』と呼び、一般的な唐揚げに比べて味付けが濃いのが特徴。それをしょうゆダレを使ってハンバーガーに仕上げた一品。濃厚な香りが彼のもとにも届いている。
　一方のチキンカツバーガーは寝子島で育てられた鶏を使った一品。ザンタレバーガーのような重厚さは無いが、揚げられたカツの色味は彼の興味を惹くには十分だった。

「こいつぁ食べ比べしないわけにゃいかないっしょ♪」

　楽しみな気持ちを抑えつつ、それぞれ１つずつ注文すると落ち着いた場所に移動する。

「まずはザンタレバーガーから……」

　食べる前からしょうゆダレの甘辛さが香る。高まる期待感を胸にかじりつく。

「むむ！　このザンギのタレ、にんにくの効き具合がばっちりだな！」

　こぶし大のザンギは予想を裏切らない、ガッシリとした歯ごたえで食べ応え抜群。そこに、にんにくのパンチが加わる。甘辛なしょうゆダレとの相性もいい。

「今まで食べたガッツリ系バーガーのなかでもかなり旨いな、これ」

　ザンダレバーガーを完食すると、今度はチキンカツバーガーに目を向ける。

「んっ！　こっちも負けてないな！」

　ザンダレバーガーに比べると、味の濃厚さは足りない。しかし下味はしっかりついていて、寝子島鳥のジューシーな旨味が口の中に広がる。

「それにこのサクサクの衣！」

　かじるとサクッと軽やかな音が聞こえるし、食感もその音の通りだった。それでいて味はしっかり感じられるので文句なしだった。

「うん、うまい！　うまいぞ！」

　チキンカツバーガーも食べ終えると、流は飲み物をゆっくり口に運ぶ。

「両雄甲乙つけがたし……！　最初からなかなかハイレベルなバーガーの歓迎を受けてしまったぜ……」

　２つのバーガーを食べて流は満足だった。しかしここには他にも色々ある。

「くっふー！　まだまだいっぱい美味そうなバーガーがあるって考えるとたまらんな！　財布の準備も万全だし、全品制覇を目指して食うぞー！」

　流はふたたびフードトラックの並ぶほうへと戻っていった。

このページにイラストを設定する