食欲の秋！　寝子島スイーツフェスタ☆｜リアクション

食欲の秋！　寝子島スイーツフェスタ☆

☆仲良し姉妹のおしゃべりスイーツタイム

　夏から秋へと移ろう９月のある日曜日。
　木天蓼大学の大学生仙藤紫と寝子高１年の仙藤蒼の姉妹は、そろってmiaoへ買い物へ出かけました。
「そろそろ秋物を買わないとね」
　と、一緒に何軒かの店を見て回ったのですが。
「うーん、これはというものは見当たらないわね」
「うん、今一つだよね」
　大人びた美人の紫と、ゲーマーでアクティブな服を選びがちな蒼の探している服の傾向は大分違いますが、どちらも納得するものが見つからず、何も買わずに店を出ました。

「あとはmiao内の本屋にでも寄ろうかな……」
　などと二人が思っていると、館内放送が聞こえてきました。
『現在miao催事場で、スイーツフェスタが開催中です……』
　蒼がじっと紫の顔を見つめます。
　見られた紫は、蒼の気持ちが手に取るようにわかりました。
「行きたそうな顔ね」
「さすがお姉ちゃん！　本屋に行く前にちょっと寄ってみない？」
「そうね」
　二人は催事場に向かいました。

「美味しそう！　お姉ちゃん、どれ食べたい？」
「フェスタというだけあっていろんな店が出店していて、どれもおいしそうに見えるわね」
　とはいえ、あれもこれも買えるほどの財力があるわけでもなく。
「それに、あんまり食べ過ぎると……ね」
　年頃の乙女らしく紫が言いますが。
「少しずつなら大丈夫でしょ？　二人で分けよう」
「そうね」
　年頃の乙女はまた、スイーツに弱いのでした。

　そんなわけで、それぞれこれはと思うものを選んで購入することにしました。
「まずはフルーツパンケーキ！　いろんなフルーツが載ってて最高なんだよね」
　蒼は大好物のフルーツパンケーキの店へ向かいます。
「それじゃ私は……あ、綺麗なスイーツ」
　紫は砂糖漬けの果物を刻み込んだクリームとアイスクリームを層状に型に詰めた、宝石箱のようなカッサータに目を留めました。
「これ、ください」
　もう一つくらい何か、と思って探していると。
「試食いかがですか？」
　と勧められたのは、可愛いにくきゅう型マカロン。
「可愛い……いただきます」
　小さなマカロンを口に入れると、甘くてとても美味しくて。
　紫はすぐに購入を決めたのでした。

「どれにしようかな……それじゃ、抹茶味で」
　あちこち回って悩んだ蒼は、最後に抹茶クリームのマリトッツォで〆ることにしました。
「蒼、こっちにテーブルと椅子があるわ」
　家まで持って帰るつもりでしたが、購入したスイーツを食べられる区画があったので、早速食べてみることにしました。
「飲み物も頼もうよ。私、アイスティ」
「私もストレートのアイスティがいいわ」
「甘いお菓子にはスレートがいいわよね」
　席に着いた姉妹はさっそく買ったものをテーブルに広げます。

「うわあ、とっても綺麗でちょっと食べる気がしないね」
　蒼は宝石箱のようなカッサータを見て歓声を上げます。
「でも食べるんでしょう？」
　そう言って笑う紫に、蒼は、
「それはもちろん。食べないのももったいないじゃない」
　と笑い、スプーンを口に運びます。
「……ちょっと、これ何？」
　紫が眉を褒めます。
　毒々しいデザインのそれは、どう見ても目玉にしか見えません。
「目玉ゼリーだって。こう見えてもおいしいって聞いたよ」
「悪趣味ねえ。食べるのに勇気がいるんじゃない？」
「じゃ、お姉ちゃんは食べないの？」
「……蒼が食べてからにするわ」

「……体育祭が夜って、初めてだよね？」
「そうね。熱中症の心配もなくていいんじゃない？」
　おいしいスイーツを食べながら、互いの学校での出来事のこととか、寝子高の運動会のこととか、不作だった秋物の洋服のこととか適当におしゃべりしていると、あっという間に時間は経っていきます。
「ごちそうさま。カッサータもうなくなっちゃった」
「食べる気がしないって言ってたのに」
「お姉ちゃんだっておいしそうに目玉食べたじゃない」
「目玉って言わないで」
「……あ、なんだかお腹へってるかも」
「もう？！」
「そりゃ、お喋りしながらじゃどうしたってお腹空くし。ねえ、もうちょっと屋台回ろうよ」
　どこを回ろうか？　と蒼はマップを広げるのでした。

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