仲良くなりたい、その９｜リアクション

仲良くなりたい、その９

〇放課後の美術室

　寝子高１年の月原想花は、放課後何となく学校に残っていた。
（今日は図書委員の仕事もないし、文芸部に顔出す気分でもないんだよね）
　ふと廊下に目をやると、黒と白に分かれたウェーブのロングヘアが見えた。
「滴ちゃん」
　なんとなく声をかけると、黒白滴はこちらを振り向いた。
「帰るの？」
「ううん、美術室に行くところ～」
　間延びした声で答える滴に、思わず想花は言葉を続けた。
「僕も一緒に行っていいかな？」
「いいよ～」
　そんな流れで美術室へ着くと、滴は描きかけのキャンバスに向かい絵を描き始めた。
　想花は、滴の傍にただいて、その様子を見ていた。
（……何してるんだろ、僕？）
　自分でもよくわからない感情が、想花の中に生まれていた。
（……ずっと、滴ちゃんを見ていたい。これって……）

　恋。
　その一文字が、想花の頭にぼんやりと浮かんだ。
（えっ……？）
　胸が高鳴るのを感じ、途方に暮れてしまう。

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