仲良くなりたい、その９｜リアクション

仲良くなりたい、その９

〇登校中

　寝子小５年の光村千恵は、登校中桃井かんなの姿を見つけた。
「あ！　かんなちゃんおはよう！」
　ランドセルを揺らしながら走る千恵の声に、かんなは立ち止まり振り返る。
「おはよう。そんな急がなくても」
「えへへ、見つけて走ってきちゃった。一緒にいこうよ。あれ……？」
　驚いた様子でかんなをじっと見つめる千恵。
「な、なによ？」
「あーーーー！！」
　大声にかんなはびくりとするが、千恵は気にせず、自分のヘアピンに指をあてる。
「みてみてこれ！　色違いの同じヘアピンだよ！　偶然すごーい」
「あ……そ、そうだね」
　かんなもようやく、ヘアピンが千恵とおそろいなことに気づいたようだ。
「この猫ちゃんかわいいよね～　……ねえ、よかったら一緒に写真撮ろうよ。並んでる姿残しておきたいんだもん」
「はあ？　……別にいいけど、スマホ持ってきてるの？」
　ちょっと呆れた様子のかんなの言葉に、はっとする千恵。
「ああ……学校行くところだっけ。じゃあ、放課後家から取ってくるから！」
「え、そこまでする？」　
　呆れつつかんなは、笑ってしまうのだった。

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