『ノラネコ会』で、元気いっぱい！｜リアクション

『ノラネコ会』で、元気いっぱい！

●ノラネコ会

　森篠琳子は、風の原公園で『ノラネコ会』の準備をしていた。
　提案者は寝子島高校の体育教師、浅井幸太先生。『子供たちにもっと、外で思いっきり体を動かして遊ぶ楽しみを知ってもらいたい』という思いから生まれ、これまで何度か開催されている。
　今回久しぶりに開かれることになり、琳子はその手伝いをすることになった。じつは寝子島高校の生徒だった頃に手伝いをしたことがあり、少し懐かしさを覚える。
　開催時間よりも早く公園に着くと、すでに幸太先生が待っていた。

「森篠、久しぶりだな」
「お久しぶりです」
「今日は手伝いに来てくれてありがとう。よろしくな！」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」

　お互いの近況を話したりした後、準備に取り掛かる。
　先生から指示を受けて水鉄砲の陣地を作ったり、スポーツドリンクなどをクーラーボックスに入れる。真夏に激しく動くと熱中症や脱水症状を起こす危険があるので、そういった事態をフォローできる準備も怠らない。
　また、転んでケガもするだろうから、救急セットも用意する。

（一応、応急手当ならできるかな）

　準備する側も熱中症などに気を付けてながら作業を進め、ようやく形になった。時計を見ると、まだ時間に余裕がある。幸太先生に一言断って、琳子は木陰に腰を下ろして子供たちを待つ。
　やがて元気な声が公園に向かってきた。琳子は立ち上がって、子供たちを出迎える。白石龍樹、光村千恵、森篠奏子、他にも大勢集まって、公園がとても賑やかだ。琳子は幸太先生に促されて、皆の前に立つ。

「こんにちは」
「こんにちはー！」

　琳子の挨拶に眩しいほどの元気が返ってくる。

「今日は来てくれてありがとう。これからそれぞれの遊びについて説明します」

　今回行うのは影踏み鬼と水鉄砲の２種目。幸太先生と一緒にそれらのデモンストレーションを見せる。

（これ、こんなのだっけ？）

　見本でやってみると、意外に記憶が曖昧だと感じる。先に概要は聞いていたものの、実際にやってみるとその差に気づく。これらに近い遊びは小学生のころにやったはずなのに、と首をかしげる。

（ちゃんと伝わってるかな……）

　記憶との差異もあり、不安になって子供たちのほうを見る。
　幸太先生の説明もあるからか、混乱している子はいないようだ。
　デモンストレーションが終わったら、次に熱中症やケガに対する注意事項を話す。

「何かあればすぐに言うんだぞ」

　幸太先生がその一言で説明を締めると、準備運動を皆で行った。

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