『ノラネコ会』で、元気いっぱい！｜リアクション

『ノラネコ会』で、元気いっぱい！

●影踏み鬼

　奏子や琳子、幸太先生は影踏み鬼のグループにいた。デモンストレーションを行った後、簡単にルールの復習をする。
　
（なるほど、相手の影を踏めばいいのね。簡単そう）

　奏子はそんな考えで影踏み鬼に参加した。幸太先生が最初の鬼となり、他の鬼は子供たちから選ばれた。琳子は奏子と同じく、最初は逃げる側でスタートする。
　
「それじゃ１０秒数えるぞー！」

　先生はそう宣言して１から順に数え始めると、琳子は子供たちと一緒に駆けだした。そして１０まで数えきると鬼たちが走り出す。
　だいたいのルールは鬼ごっこと同じだが、相手の体ではなく影を踏む点が大きく異なる。単純に逃げるのではなく、自分の影がどこにあるかも考えないといけない。
　奏子はさっそく鬼の子に狙われるが、影を踏まれそうになるとサッとかわす。

（これ結構楽しいかも）

　自分の影を確認して逃げる方向を変える。囲まれそうになったら遊具の影に自分の影を隠してやり過ごす。そうしてしばらく器用に逃げていたものの、流石に踏まれてしまった。

「あー、鬼になっちゃった」

　捕まったことは残念だが、今度は追いかける側になった楽しさがある。どうやって影を踏もうかと考えつつ、逃げる子供たちを追いかける。とはいえ、追いかけるときも逃げるときも、大体その場のノリでひたすら走り回った。

　そのなかに琳子の姿もあった。彼女も奏子に負けないくらい逃げ回っていた。しかし鬼の子供たちは結構すばしっこいので、それに対応するのがやっとといったところ。それでも粘ってみせたが、結局影を踏まれてしまった。

「今度は追いかけないと」

　少し息を整えてから、逃げる子供たちの影を踏もうと駆けだす。だが、子供たちのすばしっこさは健在でなかなか踏めない。

（は、速い……）

　この速さから逃げていた自分に少し感心するとともに、それを追い続けられるのか疑問に思う。それでもできるだけ頑張って追いかけ続けて、どうにか影を踏むことができた。

「そこまで！　休憩にしよう！」

　幸太先生の掛け声で皆が足を止める。ぺたっとその場に座り込んだり、水分補給を始める子供たち。奏子も汗を拭いたりスポーツドリンクを飲んで一休み。

（Tシャツ、汗でぐっしょり……）

　あれだけ走り回ったので、当然ともいえる。

「休憩したらもう１回やるぞ」

　２回目は見学でもいいし、種目を変えてもいいと付け加えた。幸太先生の話を聞いて、奏子はこの汗のべたつきをなんとかしたくて水鉄砲に参加した。こちらでも影踏み同様に、さんざん暴れに暴れて気分爽快。

「きゃあーもう冷たくて最高！」

　先ほどまで走りまわって汗だくの体に水が当たって心地いい。奏子たちは試合が終わるまで撃ち合いを楽しんだ。
　そうして楽しい時間は過ぎていき、ノラネコ会の終了時刻になった。皆で遊びまわった公園を掃除して、走り回った思い出を胸に解散した。

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