霊界遊園地で遊ぼう！｜リアクション

霊界遊園地で遊ぼう！

「ミラーハウス好きだったんだ！ここはどんなもんかなっと」
　ラッセルと乱蘭もミラーハウスに入っていました。
　入り口が閉まると、そこはいちめんの鏡の世界。
「あれ、これどっち行けばいいんだ。迷路系か……？」
　そこら中に自分の姿が映る中、乱蘭の姿が映っていないのにラッセルは気づきました。
「えっ、乱蘭？」
「拙者ならここでござる」
「……驚かすなよ！」
　真後ろから声をかけられて驚くラッセル。
「鏡に映るのは難しいので修行中でござる」
　安心したのもつかの間、その隣に映っているラッセルの鏡像が、ニヤっと笑い。
「ひっ！　脅かしは勘弁してくれよう……」
　肝を冷やしたラッセルでしたが、取りこまれるようなことはありませんでした。
「あ、こっちが通路か……」　
　歪んで見える鏡にぎょっとしたり笑ったりしながら、無事出ることができました。

「迷路攻略の定番で、『壁に常に左手をつけた状態で前進する事でゴールまでの道を見つける』っていうのがあるんだけど……」
「その逆の『右手法』もあるわね。けど……」
「さっきから、全く通用しない」
　蒼と紫は、迷路で苦戦していました。
　さっきまであったはずの壁が、振り返った時にはなくなっています。
「おばけとかが出ない分、こちらの方がかえって恐怖感が増すよね……」
「あっ、あれ出口じゃない！」
　閉じそうになっていた出口から何とか脱出に成功、二人は胸を撫でおろしました。

　次に姉妹が向かったのは、バトルアリーナでした。
「鬼退治？　どんな風に鬼退治するのかな？」
「好きな武器をどうぞ」
　スタッフらしきタヌキや狐に勧められ、二人は武器を吟味します。
「火縄銃や弓があるわね。これなら近づかなくても戦えるわ」
「こっちは刀だね。近接戦に欲しいかな。一番強そうなのは……」
　蒼は緑色に光る刀、紫は使いやすい弓を選んで一緒にアリーナに入ります。
「ウガー！」
　観客が見守る中、ゲートが開いて金棒を持った鬼が姿を現しました。
「行くよ、お姉ちゃん！」
　根っからのゲーマーである蒼は慌てず状況を把握します。
（大きいけど動きは遅い）
　蒼は紫に目配せし、囮になって鬼をひきつけます。
　寄ってきた鬼を、すかさず紫が狙い撃ち！
「グワー！」
　鬼は悶えて煙と消え、観客の歓声と共に二人は勝利を収めたのでした。

「のど乾いたね、自販機ないかな？」
　アリーナを出た蒼の言葉を聞きつけ、スタッフが声をかけてくれました。
「こちらの井戸でお飲み物をどうぞ」
「えっ？」
　メニューを示され半信半疑でお金を渡すと、スタッフは鶴瓶で井戸からジュースを汲み上げ。
「美味しい……」
　飲み終えて気が付くと、いつのまにか自宅の前にいました。
「コンプしたかったなあ……でも、次回来る機会があれば……」
　残念がる蒼に、紫は尋ねました。
「ねえ、何持ってるの？」
「あれ、これなんだろう？」
　手を開くと、そこには紙が２枚。
『年間パスポート』と書かれていたのでした。

「面白かったなー、年パス買おうかな」
　あちこちのアトラクションを回ったラッセルが満足そうに言います。
「人間はたぶん買わなくてもOKでござる。あっ、パレードみてく？　百鬼夜行だけど」
「パレードまであんのか」
　闇が濃くなった園内を、提灯や人魂に彩られたパレードがお囃子と共に通っていきます。
「お帰りはお見送りするさー。創作の良いネタになったわセンキュー」
　そういう乱蘭に、ラッセルも笑顔で答えるのでした。
「こちらこそサンキュー、楽しかった」
　そして気づけはラッセルの手には、年間パスポートが握られていました。

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