霊界遊園地で遊ぼう！｜リアクション

霊界遊園地で遊ぼう！

「ひゃっほおおお！」
　髪に頬を叩かれ、縦横無尽に空を駆けるジェットコースターの中で。
　前後の席にあやかしたちでいっぱいなのも気にならなくなって、ラッセルは乱蘭と共にはしゃいでいました。
「やっべー……この絶叫系だけは寝子島にもあればいいのに」
　フリーフォールやバイキングなどの落ちたり揺れたりは、ろっこん『黄色いピヨコ』でカナリアなどに変身できるラッセルは慣れているのですが。
「けど人の身で体感するのは別物だよな～」
「ここの絶叫マシンはあやかしにも超人気でござる、きゃー！」　
　一瞬聞こえた乱蘭の声は、加速と共に風に流され消えていきました。

「いっぱい叫んでのど乾いちまったな」
　ラッセルの言葉に、乱蘭が周囲を見回しながら。
「んー数々のアトラクションは人間様にはちと肉体がきついかもなー霊界だしねー」
　そこにあった井戸に投げ入れます。
「そんじゃ自販井戸で飲み物でも。現世仕入れだから多分大丈夫」
「……じ、自販井戸？」
　耳慣れない言葉にラッセルが目を丸くしていると、乱蘭は迷わず鶴瓶を引き、桶に入っている緑の飲み物をコップに注ぐのでした。
「ふしぎすぎだろ……えーと、とりあえず人間の飲み物なんだな？」
　ラッセルは桶から恐る恐る飲み物を注いで、一口飲みます。
「……普通にメロンソーダだ。美味い」
「でしょ？」

「さすがにコースターにろくろ首が絡まってきたのには驚いたけど、それ以外はまあ普通だったわね」
　紫が言いました。
　ようやく落ち着いた仙藤姉妹は、ジェットコースターを降りてバイキングに乗り込みます。
「うん、人間屋敷に比べたらそんなに怖くは……」
　グワン！
　言いかけた蒼の台詞は、前触れも脈絡もない斜め上方向への急加速で途切れました。
「「きゃああああー！」」
　そのまま座席は真下を向き、蛇のようにのたうちながら、人間界ではありえない角度まで上昇。
　にょろにょろ動くろくろ首をベルト代わりに、どうにか紫と蒼は落ちずに済んでいるのでした。　
（……前言撤回！）
　前後のあやかしも一斉に悲鳴をあげる絶叫マシンは人間屋敷以上に恐怖！
　またしても姉妹揃って涙目となって、二人はマシンを降りたのでした。

　次に向かったのはミラーハウス。
　普通の鏡に見えたそれを覗くと、鏡の中の自分が突然違う動きを始めます。
「えっ」
「鏡の中に取り込んであげる」
「……何言ってるの蒼？」
「私言ってない！」
　そう反論した蒼は、次の瞬間紫が鏡の中に引っ張り込まれてくのを見ました。
　慌てて鏡の中に頭を突っ込み、紫を引っ張ります。
「鏡の中ってこんな風だったんだ……って、それどころじゃない！」
　どうにか鏡から紫を引き戻しましたが、もう一人の蒼と紫が鏡から出てきました。
「逃げるよ、お姉ちゃん！」
　そのまま姉妹と鏡姉妹の鬼ごっこが始まりました。
「……はあ、どうにか出られたわね。蒼、大丈夫？」
「疲れたけどスリル満点だったー」
　そう言いつつ、姉が本物か心配になり、おかしなところはないか観察する蒼でした。
「うん、本物だ……と思う」
「何よ、脅かさないでよ。蒼が本物かどうか心配になるじゃないの」

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