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シンデレラの為に出来ること
【シンデレラの為に出来ること】
「えっと。香辛料と、グリーンカレーのペーストはあるから……」
「そうだな、まずココナッツミルクは必須として――」
「あ、確かタケノコ!」
ここは、少しマニアックな食材も手に入る大型スーパーの一画。
様々に材料を乗せたカートを引く
八神 修
の隣で、メモを手にした
七夜 あおい
が、必要なものを買う為に、辺りをくるくると見回している。
今日は、修があおいに『タイ料理を教えると約束した』日。
修学旅行
で、タイ料理の香辛料は揃えたが、やはり肉や野菜の食材は日持ちしない以上、そこまで本場現地調達とはいかず、こうして一緒に並んで買い物に来たのだ。
「メニューが、グリーンカレーとソムタム――あおい、辛いのは大丈夫かな?」
「うんっ」
「良かった、他にはデザートも作るとして――それからのトムヤムは胃に入るかな……?」
この辺りは星ヶ丘寮の修の家で、購入した本で一番分かりやすいものを、あおいに広げて向け、一緒にメニューを選んだのだが、トムヤムは汁物でありながら具材にかなりのボリュームがある。
「本で見たけれども、具材がかなり多かった気がするから……ちょっと難しいかも……」
「……ここは、諦めも必要かも知れないな」
慣れた料理であれば、具材の量や調味料のバランスを変えれば上手くいく事が多いのだが――しかし、今回の敵は『初めて作る料理群』。
迂闊な事をして、リカバリ不能レベルの根本的な作り直しという失敗だけは避けたいものだ。
そう考えれば、料理を減らすのもまた英断。
そしてふと、修は心に決めて一品諦める代わりに、ひとつ、あおいに問い掛けてみた。
「今回上手くいったら、また別の機会に一緒に作ってみようか?」
「――うん!」
少し寂しそうだった、あおいの表情が笑顔で輝く。
そんなあおいと、また、二人の時間が過ごせる上――修は、自分の選択が間違っていなかった事を、その胸内にじんわりと実感していた。
「わ、こうして見慣れない食材が並ぶとどきどきしちゃうね……失敗しちゃったらどうしよう……!」
こうして戻って来た星ヶ丘にある寮――修の家にて、しっかり調理仕様としてシンク側へと調理しやすく寄せられたキッチンテーブルに、買い物袋の中から出された食材が並べられていく。それを目にしたあおいの瞳が、期待や食材を無駄にする失敗など、様々な色を浮かべ困ったようにも窺える不安を見せた。
「大丈夫だ、俺だって初めてだけれども、失敗を恐れずお互いで協力すればきっと上手くいく。それに、あおいだって料理上手になって来ただろう?」
「う、うん……!」
それでも、あおいの料理の味は中々かなしいものがあるのだが。それを差し引いても、修はその為に、あらかじめ本を読んでいたのだから――絶対に、あおいと協力して、美味しいものを食べるのだ、と。
そして、二人は以前に購入していた、あしらわれた肉球マークが可愛らしいお揃いのエプロンを身に着けて、さっそく調理を開始した。
キッチンテーブルの上には、今回のバイブルとでも言うべき、タイ料理の本。そちらを都度確認しながら、修とあおいは並んで一所懸命に料理を作り始める。修から見れば、何ができるか分からない以上、上達したとはいえ料理が得意ではない、あおいの様子にも気を配らなければならない。しかし、逆に今回はそれも修の特権だと言えるだろう。
何しろ、大事な人の一所懸命な顔を、様子を、こういう時だけは正面からずっと目にしていても、何らおかしな事ではないのだから。
「あ! グリーンカレーに入れる炒めてた鶏肉、少し焦げちゃった!
気をつけてたのに、どうして……」
「いや、まだこのくらいなら――こうして」
あおいがフライパンを手に悲しげな動揺を隠さない中、修がその鶏肉を取り分けて綺麗に焦げ目を切り落としていく。
「わぁ……っ。修君、知っていたけれども、やっぱり器用だよね」
「このくらいなら、あおいも直ぐ出来るようになるよ」
「かなぁ……うん、頑張る!」
そうして、さまざまに炒めていたフライパンに、グリーンカレーの香辛料とココナッツミルクを入れて、食材を戻して煮始めれば、タイ料理独特の匂いが、ふわりと――けっこうなインパクトを伴って台所を満たし始めていく。
「タイ料理って良い香りって思っていたけれども、作るとこんなに匂いが強いんだね」
あおいが驚きつつも感動しながら、修がカレーを作っている合間に、隣でソムタム用の青パパイヤと、デザートであるカオニャオマムアンを作る為のマンゴーに包丁を入れて、下拵えをしていく。
「え? こ、このお砂糖の量、本当?」
本を見ながらマンゴーを切っていたあおいが驚きに声を上げた。修が目にした本にはカオニャオマムアンに使う砂糖の量に、日常の料理では考えられない数値が記されている――。
「……少し、減らすか」
デザートとは言え、少々健康に対する冒涜にも近い砂糖の量を目に、思わず二人は及び腰になりながら頷き合う。
しかし――あおいの包丁の使い方も、大分さまになって来た気がする。最初の頃は緊張しか無かったのに。
そんなことを振り返りほんの少し微笑みながら、修はふとその鮮やかな彩りと鼻をくすぐる香りに頷いた。
「うん、台所の空気がタイになってきた」
「あ、分かるかも! 何だか修学旅行で行った、タイのお店に入った時みたい」
あおいも、その言葉に納得したようにこくこくと頷きつつ、
「そう言えば、今使っているタイの香辛料って単品だとどんな味がするのかな?」
呟いたあおいの視線の先には、修学旅行で購入したテーブル上の小瓶が一つ。
「そうだな、料理に使うのにその香辛料の味を知らないというのも――」
それは学術的好奇心とも言うべきだろうか。修は手のひらの上に小瓶の中身である香辛料を少し乗せて、試しに軽くぺろりと舐めて、
「――!!」
次の瞬間、無声音で『ニャアアァア』と断末魔を上げる猫のような表情をしてみせた。それを目にしたあおいも、小首を傾げて同じように香辛料を手のひらに取り、ぺろり。
『ニャアアァア……!!』
修が声は無くとも表情に出すほどに耐えきれなかった辛さである。
それはもう、ふたり並び揃って、もうひとつ断末魔が増えるのも、まさに当然の帰結であったというのは、言うまでもない――。
「さて、盛り付けはこのような感じかな」
テーブルに盛り付けられた、ふわりとしつつも既に辛味が伝わってくる、強い香りの残ったバジルを散らしたグリーンカレー。ミニトマトの赤が引き立つ青パパイヤのソムタムと、デザートとして置かれたマンゴーに甘いココナッツミルクの餅米が見るからに美味しそうなカオニャオマムアン。
「わぁっ、美味しそう!」
文字通り、色とりどり。香りもさまざま。これらが自分達の手で出来たのだと思うと、少し誇らしく思える程だ。先程『いくら洗っても落ちない!』と慄きを隠せなかった香辛料の香りは、もはや勲章と言っても良いだろう。
「――そうだ、これは欠かせないな」
喜びに顔をキラキラさせているあおいに、修はふと思いついたように、外はまだ明るいが、部屋のカーテンを閉めて関節照明を仄明るくなるまで落とす。着席を促されて、先に座り待っていたあおいが不思議そうにその光景を見つめる中、テーブルの上に灯されたものは、
修学旅行で購入した
料理の香りを阻害しないよう事前に選んだ花型のアロマキャンドル。そして、うっすらと主役を邪魔しないように掛けられた音楽として、ケーンとパンパイプを中心としたタイの伝統音楽、モーラムが心地良く辺りに奏でられ始める。修はワイングラスを自分の席とあおいの前に置くと、買っておいたタイの土地柄の料理に合う鮮やかな赤色のお茶をそっと注いだ。
「わ……何だかおもてなしされちゃってるような気がする……!」
「料理を一緒に作ったんだから、この位のことはしないとな」
そう、せっかくあおいと料理を作ったのだから、この位のもてなしの時間は許してほしい。
すべては素敵な時間を過ごす為――修が着席し、薄暗い空間をキャンドルが揺らめく灯りと共に。
「乾杯」
微笑んでグラスを傾ければ、あおいも少し躊躇ってから、照れ恥ずかしそうに己のグラスの端を合わせて、硝子の澄み渡る音を響かせた。
食事の合間に、二人の会話は軽やかに弾む。
グリーンカレーを食べれば、その時の香辛料を買った時の話へ。香りが混ざってしまわないよう絶対の注意を込めたアロマキャンドルの話題になれば、あおいは「こんなに素敵だったら、私も使わないと勿体ないよね」と可愛らしい少女の微笑みを浮かべてみせた。
「そう言えば――以前に、カワウソの宝石商から受け取った宝石があっただろう?」
「うんっ、凄く綺麗でこっそり部屋の引き出しにしまってあるよ」
ふと修の振った話に、あおいは直ぐに心の思い出の大切な一つとして、それを表に出して大きく笑顔で頷いた。
「ああ、三つに割っても、それでも大きいし綺麗だった。ルビーはあおいの誕生日だから――あれをアクセサリーに加工したらどうだろうと思ったんだ。
ルースのままも綺麗だけれども、身に着けられたら――」
きっと、もっと素敵なのではないかと思うから。そう続けた修に、あおいは困ったようにうなり声を上げる。
「でも、アクセの加工ってお値段……」
「なんなら自作してもいい。あれだけの宝石だから、きっとクレイシルバーで土台を作っても綺麗なはずだ。あれなら安価で手に入るし、お手軽にシルバーアクセが作れる」
銀細工がオーブンで出来る粘土――身近ではない一般の高校生にとっては、それでも少々安価ではないが、その辺りならば自分が用意すれば、手間も掛からず自由に、あおいも好きなデザインのアクセサリーが出来るだろうと思う。
そのオーブンで出来るというお手軽さだけを話せば、あおいはそれなら楽しそうと期待に胸を弾ませるのが修の目に映る。
それだけでも、修には、十分に幸福だと思えるのだ――。
そして、食器が片付けられ、テーブルの上には淡い光のキャンドルと、先のワイングラスのお茶に代わり、柔らかなフレーバーのものが用意された。
食事も一息。修の元へは猫のブルーが軽くその身をすり寄せて。ミルクはあおいの膝の上にぴょいと飛び乗る。
「ふふ、猫って皆可愛いと思ってきたけど、やっぱり修君の家の子たちは皆可愛いかも」
「あおいが来てくれて、皆喜んでるんだよ」
ミルクを撫でてあやしながら、あおいが告げる。修には、その姿は慈愛に溢れる聖母にも見えて。
言葉少なく、それでも温かで、ゆっくりと過ぎていく、時間。
それは、修には何よりも幸せであったから。幼い頃より、幾ら求めても手に入らないものであったから。
「あおいとずっと……こうして一緒に毎日料理したり、猫と遊んだりできたらいいな」
つい、口から紡がれた、己の言葉。嘘も偽りも、思案もなく。ただ幼い子供が当たり前の日常を望むように、その場に於いてこぼれた言葉。
しかし、それにあおいは――ただ、かなしげな表情で顔を上げた。
「うん、でもね……」
僅かに、伏せ気味の瞳には、沈痛の色を隠して。
「あのね、……私、今だけでも……嘘みたいに幸せなの。本当だよ? 修君に、二人で、普通じゃ手の届かないようなオーロラの旅行にだって連れて行ってもらって。
私、修君に、こんなに気を遣ってもらって、こんなに優しくしてもらって……」
あおいが、僅かに息を詰まらせた。
「でも、ね……?」
あおいの眼が潤み、唇が紡ぐその言葉を、修は確かに耳にした。
『おなじじゃないの』――彼女が言った。
『修君と同じじゃない。同じしあわせだったらいいなと思っても、住んでる世界が釣り合わない。オーロラの旅行も、石の加工も。自分が反対の立場だったらぜったいできない。
修君からもらうこれ以上のしあわせは、胸から溢れてしまいそうだ』と。
このまま、いつか『その幸せが、当然にしか感じられない未来が来るかも知れない』から。
だから――『ごめんね、これ以上は、もういいの』と。
そう言って、涙ぐんだあおいは、そのままぼろぼろと泣き始めた。
修は――それ以上の言葉を聞きたくなかった。
「大丈夫、あおいはそんな女性じゃない。それは、俺が一番良く知っている。
あおいは幸せになるのに相応しい女性で……」
その瞬間、修はあおいの言葉の真意を悟り、己の言葉に触れ直す。
『幸せになるのに相応しい女性』それでは、まるで、
『今、既に存在している、日常のあおいが見ている幸福の否定をしているようではないか』
修は、あおいをより幸せにすることだけを考えてきた。
修は、己に出来る限りの事をしてきた。
それが――己が普通に持つものを溢れんばかりに与えることが、相手を傷付ける事になるなんて。
同じようなことは曖昧に何度も言われた気がする。しかし、こんなにはっきりと言われた事はなかった。
自分のして来た事が、相手を泣かせることになるなんて思わなかった。こんなにも愛している人を、不安にさせていたなんて、思わなかった。
修の瞳が微かに揺れる。己の色を隠す為のカラーコンタクトが、落ちてしまうと。何処かで思った。
ふと……思い浮かんだものは。最初、修も知らないタイ料理に『相手と同じスタート地点に立てる』と。『本当に、一緒のスタート』なのだと。言外に、心より嬉しそうに微笑んでくれた、彼女の笑顔。
思う。
自分が、シンデレラであって欲しいと願った女性は――本当に、それを望んでいたのだろうか。
「あおい……」
思い到った、その想い。
己が溢れんばかりに差し出した幸福が、怖くはないと言うのは簡単だ。
――だが、あおいと……あおいが、自分と共有したいと願ったものは。
少なくとも『己が、幼子の頃に引き取られてからずっと見てきた世界』だけではなかったのだと、修はあおいの言葉で知ってしまった。
あおいと望んだ、優しく穏やかで、微笑ましさすら感じる世界は――そう、喩えるならば温かな『母』のいた、夕焼けの世界で見た、あの愛しさは、温かさは。
自分が与えてきたものだけでは、成立し得ないのだと。あおいの涙で気付いてしまった。
何不自由のない世界。それが、彼女の幸せだと思って来た。だから『修』は、あおいに自分と同じ世界を見てほしかった。
けれども、
王子は、愛した美しい灰かぶりを、そこに縛り付けたかった訳ではない。
修はテーブルに乗せられていた、あおいの手を震えるほどに強く握り締める。互いに揺れる瞳を重ねて告げた。
「あおいの幸せが、俺の幸せだ。その為だったら何だって出来る。
だが、もしそれが過剰だというのなら――俺にも……あおいのいつも見ている幸福を見せて……分けてほしい。
どんなものでも構わない。俺は、ただ――大好きな人と、想いを、分かち合いたい。
一緒に……『同じ世界を見よう』」
修にとって、平凡に育ってきたあおいと同じ世界を見るという事は、己の将来の夢にすら、致命的なまでに影響することだ。愛すら、刹那の幻に掻き消える。そんな世界にいるからこそ、修は平穏の象徴でもある、あおいの存在を何よりも尊んだのだ。
ゆえに――この修の言葉は、本当に将来を誓うのならば。決して相容れないかも知れない、夢幻にも近い願いにも似ていた事は否定が出来ず。
しかし、それでも――。
それを聞いたあおいは、驚愕にも近く目を見開いて。
今まで、あおいの総てを見てきたと思った修が、目にしたことのない、初めての表情で。
あおいは『秀』へ、涙を潰した満面の微笑みを向けたのだ。
己の運命として愛したシンデレラが、もしも自分のいる王宮を望まなかったとき、
――その時、王子には一体何ができるだろう?
このページにイラストを設定する
あとがき
担当マスター:
冬眠
ファンレターはマスターページから!
大変お久し振りでございます。この度MSをつとめさせていただきました冬眠と申します。
この度は、八神 修様のプライベートシナリオSSSのお届けにあがらせていただきました。
今回はNPC七夜あおいちゃんとのSSSという事で、こちら相応のものをご用意しなければならないと、本当に緊張しきりで執筆させていただきました次第となります。
こちらの執筆に於きましては、本当にかなりの思案を重ねさせていただきましたが、こちらにつきましての仔細におきましては、プライベートシナリオでございますことから、是非個別あとがきにてお届けさせていただければ幸いでございます。
それでは、この度はプライベートシナリオのご依頼、誠に有難うございました。
少しでも、お気に召していただければ幸いでございます。重ねまして、この度は本当に有難うございました!
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2021年10月23日
参加申し込みの期限
2021年10月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年10月30日 11時00分
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