寝子中あやかし探偵団～藁人形の怪～｜リアクション

寝子中あやかし探偵団～藁人形の怪～

　今年、寝子島中学を卒業して寝子高へ進んだ仙藤蒼は、放課後久しぶりに中学校に顔を見せに来ました。
「懐かしいなあ……制服を来て中学に通ってたの、ついこないだのことなのよね」
　しかし、なんとなく生徒たちの顔が暗いことに気づきました。
（何かあったのかな……？）
　顔見知りの後輩たちを見かけて、声をかけてみると、懐かしそうに答えてくれました。
「あっ先輩、お久しぶりです。元気そうですね」
「こっちはもう、大変なことになってるんですよ」
「大変なこと？」
　蒼は後輩たちから事情を教えてもらいました。
「藁人形にいじめに謎の校長先生。色々なことがあったのね……」
　とことんやりこまなければ気が済まない性格の蒼は、この事件を放っておけませんでした。
「ありがとう、この事件調べてみるわ」
「さすが先輩！」
「あやかし探偵団とかいうのもあるらしいけど、先輩のほうがきっと優秀ですよ」
　声援を受けた蒼は、とりあえず藁人形についての調査を開始することにしました。
　その前に後輩たちから当事者の名前を聞き出します。
「休んでる子が２年４組の木村由佳、いじめられてる子は同じクラスの遠藤茉莉、ね」
　
　後輩たちは去り、残った蒼は考え込む。
「グラウンドに五寸釘で打たれた藁人形。しかもいじめっ子の名前が書かれていた……」
　容疑者はいじめられっ子、とも考えられますが。
（まずそれはないわね）
　蒼は推理します。
（そんなことをしても自分の立場がますます悪化するだけで、いじめがよりエスカレートするのが目に見えているもの。となると、考えられるのは……）
　蒼は、自分の考えを裏付けるため、聞き込みをすることにしました。
　まずはグラウンドで野球部員に声をかけます。
「藁人形を見つけたのってどの人かしら？」
　３年生の野球部員は、その時のことを話してくれました。
「茂みに入ったボールを取りに行ったら、樹に藁人形が打ち付けられてて腰を抜かしそうになったっス」
　携帯で撮った写真も見せてもらいました。
　それは想像したものほど不気味ではなく、名前はマジックで雑に書かれていました。
「『ユキ』と言われればそう見えないこともないけど……マキと読めないこともないような？」
　
　

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