寝子中あやかし探偵団～藁人形の怪～｜リアクション

寝子中あやかし探偵団～藁人形の怪～

　蒼は考えていました。
（いじめっ子の側がいじめられっ子をいたぶる理由づけのために藁人形を打ち付けた。全校を巻き込むような形にすれば、当然要らぬ騒動を起こしたいじめられっ子の言い分など聞かなくなる……そういう方向に仕向けようとしたのではないか？）
　あくまでもこれは自分がそう思うだけで、実際のところは不明ですが、このあたりのことを中心に調べようと考えました。
　しかしその副産物として、色々と辟易するようないじめの内容や、どう行われてきたのかといった情報を入手してしまいました。

「……結局、藁人形の件を調査するというより、いじめの実態を調査する羽目になってるわね」
　ゲンナリした蒼が校庭の隅でため息をついていると、
「……はぁ」
　木陰からもため息が聞こえてきました。
　そっと様子を伺うと、スーツ姿の見覚えのない男性でした。
（あ、もしかして……新しい校長先生かしら？）
　校長は蒼に気づいていない様子でひとり呟きます。
「小春先生にはくれぐれもと頼まれたけど、私じゃ生徒たちとうまくやっていけそうにない……」
（え、どういうこと？）
　校長はふらふらと木陰から出て、校舎へと戻っていきました。

　翌日。
　登校前に瀬莉がねこったーを確認すると、いじめっ子の裏アカウントは消えていました。
　表のアカウントを確認すると。
『元気になったから、学校行くよ』
　とツイートされており。
『２年４組の木村由佳が登校した』　
　サトリからDMが入ります。
『どうなるんでしょう……？』
　なんとなく返事を返しながら、やれるだけのことはやった、と瀬莉は思いました。
『どうだろうね。あとは経過を見守ろう』
　そんな返事が返ってきました。
（良い方向へ向かうことを祈ろう）
　瀬莉はそう思いながら、スマホを閉じたのでした。

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