もちもち思い出、ねこじま和菓子ウィーク！｜リアクション

もちもち思い出、ねこじま和菓子ウィーク！

〇逆ナンと和菓子作り

　寝子高２年の水上桜は、友人の有沢茉奈と一緒にねこじま和菓子ウィークで賑わう街に繰り出した。
　和菓子はいいのだが。
「今日こそ彼氏ゲットするわよ！　甘い和菓子であまーい雰囲気作戦！」
　今日も元気な茉奈の目的は逆ナンだ。
　そして一緒にいる以上、彼氏ゲットに興味のない桜もそれに付き合わされることになる。
　思えば海開きから大晦日、お正月、お花見に至るまでずっとそんな調子だ。努力はすごいと思う。
　しかし例によってなかなか彼氏ゲットできない。　
「友達だから言うんじゃないけど、茉奈は可愛いよ。大人しくしてたら確実に声がかかると思う」
　今までも何度もそう言っているのだが。
「そうでしょ？　なのになんでみんな見る目がないのかしら」　
　ため息をつく茉奈。
「でも……積極的すぎて逆にドンびいちゃうよ……」
「次行くわよ！」
　明るくて快活なのは茉奈の美点なのだが、段々とイライラし始めているのがわかる。
「何あのカップル？　お店の前でベタベタしちゃって、くそっ！」
　何組かカップルが仲睦まじくスタンプラリーなどしているので、茉奈の表情は明らかに険しくなりしまいに毒舌を吐き始めた。

（まずい。このままじゃますます彼氏ゲットとか無理だわ）
　焦った桜が周囲を見回していると、看板が目に入った。
「茉奈、miaoで和菓子づくり体験コーナーやってるって。行ってみようよ！」
（和菓子づくりに没頭させれば少しは気もまぎれるだろうし）
「体験コーナー？　うーん、彼氏づくり体験はないわよね……」
　ぶつぶつ言いながらも茉奈はついてきてくれたので、桜はほっと胸を撫でおろす。

「桜、何作るの？」
「私はバラの練切り菓子にしようかな」
「桜器用だもんね。あたしはかぼちゃまんじゅうにしようかな」
　二人は説明を受けて作り始める。
「こんな感じかな？」
　桜はすぐにコツをつかんで綺麗に練り切りに筋を入れ、バラを形作った。
「けっこう楽しいわね、これ」
　茉奈も楽しそうにかぼちゃまんじゅうを丸めている。
　作り始めるとなんだかんだで集中し、割ときれいに作れた。

「できた！」
「写真撮っておこうか」
　出来上がった和菓子と共に自撮りしてから、お茶を入れる。
　二人は自分たちの作った和菓子を試食した。
「美味しい」
「初めて作った割にはイケてるね」
　和菓子を味わいながら茉奈の笑顔を見て、桜は来て良かったと思うのだった。

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