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Heart in Motion
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準備できた? と彰尋は玄関口から呼びかけた。
「まってー」
もうすぐだから、と
七夜 あおい
の返事がきこえた。まだ姿は見えない。
見えた。ぱたぱたとやってくる。白いシャツの夏服、髪をくくるのは黒いゴム、いささかくたびれてきた通学カバンと、弁当箱の入ったエコバッグをさげている。
「今日、一時間目の英語だけど」
単語テストだったよね、やだなあ、とぼやきつつ靴を履いたところで、
「どうかした? 急に黙ったりして?」
あおいは手を止め、不思議そうな表情で彰尋を見上げた。
「私、なんか顔についてる?」
歯磨き粉とか? と手の甲でごしごしと頬をぬぐう。
「ああ、いや、なんでもないんだ」
早口で否定して、それからゆっくりと息を吸って、
「ただ、幸せだなあ……って」
くすぐったい気持ちとともに彰尋は告げた。でも、冗談や嘘のまじらない本心だ。
「愛する女性と結婚して、一緒に学校に行けるっていうことが。しみじみ思うよ」
「もう~」
手をグーのかたちにして、あおいは彰尋の胸をポンと叩いた。下をむいている。
「あらたまってそんなこと言われたら照れちゃうよー。朝イチから」
すこし前に法改正があって、この国では性別に関係なく十六歳から結婚ができるようになった。もちろん高校生同士でも可能だ。いまや産休をとって休学するカップルも、赤ちゃん連れで登校する高校生夫婦もめずらしくなくなっている。校内の保育園も盛況だ。もちろん早期の結婚は楽ではないが、国が補助金を出してくれるので、未成年同士でも生活はなりたっている。
あおいは黙って顔をあげた。目を閉じている。
ほとんど毎朝の習慣だけど。
やっぱりドキドキするな。
彰尋は彼女の肩を抱くと、短いけれど音のたつような口づけをした。
「いまので……英単語ひとつ頭からこぼれちゃったかも」
「えっ? それはいけない」
冗談冗談と笑うと、あおいは彰尋の手を取ったのだ。
「行こっ」
結んだ手と手はごく自然に、指をからめあうかたちへと変化していた。
◆ ◆ ◆
スマートフォンはまるで駄々っ子だ。けたたましいベルの音と、じたばたした振動の両方で暴れまくっている。
目を閉じたままサイドテーブルに手を伸ばし、彰尋は電話を黙らせた。
半身を起こしてのびをする。
「ああ――」
あくびかため息かその両方か、ともかくも声が漏れた。
とても幸せな夢を見た。
いや、夢とはちょっとちがうかな。
あまりにリアリティがあったので、ゆめまぼろしというよりは、別世界の記憶というイメージだ。平行世界の自分と彼女との生活を、垣間見たという感じかもしれない。さもなくば、過去体験した平行世界を思いだしたというべきか。
――それにしても、ずいぶんと自分勝手な設定だったよな。
いささか恥ずかしくなってくる。しかしその反面、願わくばあと五分、いや一分だけであろうとも、あの世界にひたっていたかったとも思うのだ。
彰尋の唇には、まだあおいの唇のやわらかさが残っている。
うん、やっぱりあったんだ。あの生活は。
記憶がある。かつて彰尋は体験したはずだ。証拠は何もないけれど。
寝床から出て机の上の封筒を取る。ブルーブラックのインクでしたためた進路調査票が入っていることを確認する。
あのころからも悩んでいた進路については、あやふやだったところがかたちになってきていると思う。だからいま思い出せたのかな?
今朝は余裕をもって出たので通学路はすいていた。
級友を見かけることもないな、と思っていたら。
「彰尋くん、おはよう」
校門をくぐったところであおいに出くわした。ならんで歩く。遠くから野球部かサッカー部の朝練の声が聞こえてくる。
「早いね。私もなんか、今日は早く目がさめちゃって」
「俺もなんだ。奇遇だね」
「今日、一時間目の英語って単語テストだったよね、やだなあ」
「――えっ!?」
「あれ? テスト来週だっけ? それとも彰尋くんがテスト忘れてた?」
「いや、今日が単語テストなのはわかってるよ、実は」
一瞬だけためらったが、相手の名を出さなければいいと考えて彰尋はつづけた。
「今朝見た夢でも言われたんだ。『一時間目は単語テストだ』って」
「なるほど、単語テストはそれだけ彰尋くんにとっては重要なトピックだというわけね。学生の本分をしっかり理解しているようで感心感心」
あおいはアハハと笑って、
「で、夢でそのお告げは誰から受けたの?」
「よくぞ訊いてくれました。それ言おうと思ってたんだよ」
「お母さんとか?」
ちがうよ、と彰尋は肩をすくめた。
「なんと結婚相手から言われた。夢のなかでは俺、結婚してたんだ」
「えー! ということは彰尋くん、結婚しているのに高校生のままで」
「しかも英単語のテストがある!」
ふたりは顔を見あわせて笑った。
「あと、彰尋くんの結婚相手って……」
あおいが言いかけたところで、
「あおいちゃーん! おや彰尋くんもー!」
オッハヨー! と声をあげて
野々 ののこ
が追いかけてくるのが見えた。
文鳥というか手乗りインコというか、そういった軽妙さでたちまち追いつく。
「ふたりとも早いね!? 私、目覚ましのセットまちがって早起きしただけなんだけどさあ」
結局そのまま、あおいが言いかけた言葉のさきが明らかになることはなかった。
それでよかったのか、悪かったのか。
わからないけれど――。
パチンと音を立て、万年筆のキャップをはめる。
進路調査票提出済み、と書かれた名簿の一番上には、ブルーブラックの文字で『鴻上彰尋』の文字が躍っている。
――『Heart in Motion』 了
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あとがき
担当マスター:
桂木京介
ファンレターはマスターページから!
桂木京介です。リクエストにあらためて感謝申し上げます!
例によってボーナストラックあつかいで、文字数ギリギリまで彰尋様限定のコメントを書かせていただきました。
どうぞご確認ください!
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
恋愛
オールジャンル
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年08月25日
参加申し込みの期限
2021年09月01日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年09月01日 11時00分
参加キャラクター一覧
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