KAIJYU KINGDOM｜リアクション

KAIJYU KINGDOM

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　一面焦げ付いたような色の空に覆われた高層ビル街を、一体の巨大怪獣が闊歩していた。
　背ビレを発火させて口から火炎を放射、横一閃に薙ぎ払う。ほとんどビームみたいな炎を浴びたビル群が、音を立てて倒壊する。
　その巻き起こす白煙を突き抜けて、サキリ・デイジーカッターの操縦するＮ５６５６式垂直離着陸機が飛び出した。
「こちらサキリだ、ヤツの弱点を探す。協力を頼むよ」
　内蔵の通信機で呼びかけながら、機体を旋回させて怪獣の側面へ移動し、背ビレをロックオン、ニャゾンミサイルを発射。
　無造作に振るわれた尻尾に撃ち落とされながら、数発が着弾。爆炎の中で、背ビレが発火するのが見えた。

「ほらほらこっち！」
　３メートルほどのパワードスーツ――N２２２式パワードスーツの上からウィングユニットを装着した白真白が、巨体の足下から駆け上がるように飛翔。両手のニャゾンブレードの切っ先で、厚く強固な外皮を削り取る。
　怪獣の目がギョロリと動く。
　真白はすかさず、右目の義眼に宿した呪術の光を放った。
　黒い光が火炎放射の動作を鈍らせ、その隙に真白は巨体を右足へ向かって降下。
　遅れて放たれた火炎が周囲をあっという間に火に包むのを目の当たりにし、真白は改めてこの怪獣のとんでもなさを実感する。こんなのが寝子島に現れたら大変だ。
（絶対にここで止めないと！）
　
　怪獣が牙を鳴らす。
　真白を噛み砕こうと開いた口元に、アシュリー・アンダーソンがニャゾンミニガンを叩き込んだ。手持ちするには強烈すぎる反動をウィングユニットで飛行することで受け流し、光弾の嵐を叩き込む。
　秒間１００発、もし普通の生き物に向ければ瞬く間に吹き飛ばす光弾の嵐。それを顔面に受ければ、巨獣も流石に怯む様子を見せた。
　怪獣が前足を振るう。少々小さいとはいえ、パワー自体は巨体相応。手近なビルをたやすく叩き割り、勢いのままアシュリー目がけ弾き飛ばす。
　怪獣の正面は維持したまま、高度を落として回避する。巨大過ぎる飛礫が生じさせる風圧に軽く体勢を崩しつつも、アシュリーは獰猛に笑ってみせる。
「頭も多少は回るってか。なおさら戦い甲斐がありそうじゃねえか！」

　叩き割られたビルの残骸が、轟音をあげて地面に落ちる。すかさずしなった怪獣の尾が残骸を弾く。
　その残骸を吹き飛ばしたのは、羽生碧南が放ったニャゾンランチャーだ。
「寝子島に手出しはさせない、ここで倒すわよ！」
　ウィングユニットを起動させ、ランチャーを連射しながら碧南は飛翔。眼下を炎が突き抜けていく。
　直感に従って横に飛べば、振り上げられた火炎が視界の端を駆け抜けていく。
「まともに当たったら消し炭ね……でも！」
　ランチャーの距離を維持しながら大きく旋回、背中を捉えると背ビレに向かってランチャーを連射した。
　照準の正確さは考えない。撃っては移動を繰り返し、とにかく怪獣に反撃の狙いを定めさせない。
　無造作に放たれた火炎をかわした先で、空に小さなヒビが走る。

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