流しそうめん♪　そして流し追試？｜リアクション

流しそうめん♪　そして流し追試？

☆満喫！　流しそうめん

「流しそうめんと聞いたら参加しない手はないわ」
　２年の楡宮遠海は、規格外の大食い女子だった。
　遠海が参加すると知った食堂のおばちゃんたちの進言で、主催側は大量のそうめんを用意することとなった。
　遠海の外見は鎌倉の名家のお嬢様然とした容姿でスレンダーな身体つきなので、知らない人たちは用意されたそうめんの多さに首をひねっていた。
「まずは薬味ね」
　セルフなので、用意されたトッピングを盛れるだけお皿に取る。
　鳥のささ身やチャーシュー、甘辛く煮た牛肉などの肉類。
　刻んだトマトやオクラ、玉子焼きを切り刻んだものなどもあって嬉しい。

　準備ができた遠海は、まずは静かにわくわくコースに向かう。
　黙っていれば「立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花」という表現が似合いそうな遠海。
　しかし食べ始めると、ものすごいスピードでそうめんが吸い込まれていく。
　表面ではお淑やかに食べているが、内心では、
（そうめん、そうめんつーるつるー♪　流れてくるものぱーくぱくー）
　そんな歌までBGMになってしまう絶好調ぶりだ。
（一体あのスレンダーな身体にどうやったらあれだけ大量の食べ物が収まるんだ？）
　初めて遠海の食事の様子を目にした者は、理解に苦しむのだった。
「追加ゆでて！　なくなっちゃう！」
　裏方は大わらわだ。
　
　ある意味で残念（？）ともいえるのだが、何かを食べているときの遠海の幸福そうな顔を見たら、そんな疑問はどうでもよくなってしまうだろう。
　それに見た目も上品で決して不快さを感じさせないのだ。
　遠海が流しそうめんの竹樋から離れたので、係の生徒はほっとしたが。
「わくわくコースは満喫したし、つぎはどきどきコースに行ってみようかしら」
　そんな音場を聞いて、冷や汗をかく。
（あれだけ食べたのに、まだ入るの……？）
　
　そのころどきどきコースでは。
「どきどきコースは甘くないぞ」
　係の生徒がそうつぶやき、ニヤニヤしながらそうめんを準備していた……

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