とまどいエチュード｜リアクション

とまどいエチュード

（･･････何だ？）

　八神修は、自分の体をまさぐる。
「･･････？」
「大丈夫なのかーー？」
　体を起こす修。
「八神君！」
　あおいの歓喜の声が響く。
「死んだのではなかったか？！」
「彼女を残して死ねるわけはないさ」
　笑って、懐から何かを取り出す。
　銃弾を喰らって潰れた「寝子島ねこコイン」。
　背中にくくりつけたポーチの中にあったそれが、奇跡的に修の命を救ったのだ。
「悪運の強いほうでね」

「――はあ……」
　舞台袖でぐったりと柱にもたれるあおい。
「すごく似合ってたよ」
　声をかける修。
「目が心ごと奪われた」
「修君……」緊張から解き放たれた虚ろな目を修に向けるあおい。「修君が撃たれた時、舞台なのに、本当にびっくりした」
「すまなかった」
「でも、修君が無事で、本当によかった……」
「あおい……」

　その時、けたたましいベルが響き渡る。
　――『夢の舞台』終演の時間です！

このページにイラストを設定する