春のボードゲーム会｜リアクション

春のボードゲーム会

☆ニャミニオン！

　カードゲームが趣味の白真白は、『Ze Pet』にもよく遊びにやってくる。
「ボードゲーム大会？　これは参加するしかないよね」
　入ったときにはすでに盛り上がっている最中だった。
（どれに参加しようかなぁ？　あっ）
　遊んでいる子供たちの中に『クラン＝G』の看板娘、三佐倉千絵の姿を見つけた。
（にゃん生ゲームだね）
　途中で入るわけにもいかないので、一緒にプレイするのは無理そうだ。
　ちょっと残念に思いつつ、別のゲームを探す。

「じゃぁニャミニオンにしよっと」
（これなら『クラン＝G』で何度もやったことあるんだよね）
　ニャミニオンは、世界中でブームを巻き起こしているカードゲームだ。
　プレイヤーは中世欧州の小王国の領主となり、自分のデッキ（領土（ドミニオン））を拡張していく。
　コインのカードを使ってカードを購入していくが、購入したカードはすぐに利用することはできず、手札を捨てて山札が循環するまで待たなければならない。
　アクションカードは２５種類あるので、無限ともいえる組み合わせを楽しむことができる。

　真白はセッティングされたカードを眺めた。
（今回は……お、破棄カードがあるね。破棄カードはデッキ圧縮に使えるから最初に1枚は取っておきたいよね）
「初手は破棄カードとってーっと」
　ドローカードを取りつつ、銅貨や1点カードは破棄していく。
　普通のゲームは最初の手札の良しあしに左右されるが、ニャミニオンは捨てることで不要なものを削り、デッキを強くしていくゲームだ。
（金貨2、銀貨1で高得点カードが買えるから破棄カードを駆使してドローカードとそれらだけになるように圧縮圧縮）
　他のプレイヤーの動向にも目を光らせる。
（同じようなデッキを目指してると引きによっては作れなくなったりするし、その時は大量ドローカードを集める方にシフトしてもいいかなぁ）
　どうやらその気配はなさそうだった。
（誰かが高得点カードを買ったら私も買い始めるよ）
　はたして、隣のプレイヤーが高得点カードを買った。
（圧縮が間に合った。大体毎ターン買えるから私の方が多く買えるはず）

　ゲーム終了。真白は大差で勝ちを収めた。
「もう一戦！」
　負けた子は悔しそうに再戦をせがむ。
「それじゃもう一回やろうか」
　真白が札をまとめていると。　
「白さん？」
　声をかけられ振り向くと、笑顔の千絵が覗き込んでいた。
「白さんも来てたんですね。私はそろそろ帰ろうかと思ってたんですけど……」
「えっ、せっかくだから一戦やっていかない？」
　思わずそう言うと、即座に返事が返ってきた。
「そうですね、じゃあ一戦だけ」
　敵情視察なら、あまり長居はしづらいのかもしれない。
　けれど千絵の顔には、ゲームがやりたいと書いてあるようだった。
「よーし、それじゃ始めよう！」
　
　接戦の末、真白は千絵に勝利することができた。
「次回は負けませんよ」
　千絵は楽しそうに言うのだった。

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