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寝子島高校
今日から『らっかみ!』
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シャツのボタンを留めるとスカートをはき、紐状のリボンを胸元にゆわえる。
結び目は、ややきつい程度に。
姿見に向かって立つと、ショートに切った黒髪、涼やかなまなざしの高校生が見つめ返してきた。
あなたは、私。
鏡の中の少女が語りかけてくる。
私は、あなた。
心の中で返事をした。
どこからどう見ても女子高生。それも、本日入学式を迎える寝子島高校の新一年生だ。白無垢のようなシャツ、新品のブレザーに袖を通すとますますそう見えてくる。
でもあなたは。
私は。
当たり前の新一年生じゃない。
少し、妙な感じがする。
本来なら私、先月には卒業して、進学するか就職するかして、人生の新たな門出を迎えているはずなのに。
誕生日を迎えたのは数日前、だからもう
梓 智依子
は十九歳なのだ。周回遅れどころではない。昼休みのチャイムが鳴っても、いや五時間目がはじまっても、まだ給食をぜんぶ食べられずにいる小学生のようだ。
鏡の中の少女が唇を歪めた。微笑に似ていたが、憐れみあるいは自嘲のようにも見えた。
「ママー!」
智依子の表情が一変した。心からの笑み、気づかい。ほとんど無意識に両手を腰のあたりにやって、小さな、けれども勢いのある、そしてやわらかなロケットの突進を受け止めた。
ロケットの正体は女の子だった。まだ四歳、名前は楓。智依子の娘だ。
「おめかししてどこいくの?」
絵本かテレビでおぼえたのだろうか、『おめかし』なんてという言葉をいっちょ前につかいこなしているのがかわいい。
「学校よ」
「がっこう?」
「高校。ママね、今日から高校生になるのよ」
「こうこうせい?」
つぶらな瞳がまっすぐに智依子を見上げている。
「そう。お勉強とかしたりするの」
智依子が寝子島に渡ったのは四年前のことだ。
十四歳にして妊娠した智依子は、信じていた男に裏切られた。両親からも、宿った命を諦めるよう言われた。
――でも私は、楓と出逢うことを選んだ。
選択を後悔してはいない。彼や両親への恨みもない。たったひとりで育てることも覚悟していた。
捨てる神あれば、とのたとえはいささか陳腐だろうか。しかし寝子島に住む祖父母が智依子に手を差し伸べてくれたのは事実だ。老夫婦はお腹の子ごと智依子を暖かく迎え入れ、彼女の出産、さらに育児を助けてくれたのだった。さらには寝子島高校への入学を熱心に勧めてくれたのである。
いくら感謝しても感謝しきれない。
だから祖父母の願い通り、高校生活を楽しもうと智依子は決めている。
「かえでちゃんもいく! こうこう! おべんきょうするの!」
智依子の手が楓の頭にのびた。
「残念、楓はまず小学校ね。つぎは中学校、高校はそのさき」
ぶー、と楓が頬をふくらませた。
「ママだけこうこう、ずるい!」
よしよしと智依子は頭をなでる。
「小学校も中学校も、とっても楽しい場所だから、飛ばすのはもったいないよ」
でも、と智依子はしゃがんで、娘の目線の高さになって告げた。
「今日だけ特別、楓も行ってみようか? 高校」
おじいちゃんとおばあちゃんも一緒に、と付け加えると、楓は両手をバンザイして喜びを表現した。
入試のときに訪れたはずだが、まるで知らない場所のようだった。
寝子島高校の印象は、智依子の記憶とは姿を一変させている。
なんとなく寒々しかった敷地はすっかり春めいていたのである。そろそろ青葉の出つつある桜、緋色と新緑の対比はまぶしいほどだ。風が吹くたび花弁が舞い踊る。
紅白の垂れ幕が門扉に下がっている。くぐるアーチに書かれた文字は『祝・入学』で、無数の増加で飾られている。講堂までの道の左右では、たくさんの部活動が勧誘の声を枯らしていた。柔道剣道野球にテニス、スポーツ系の部活はめいめいのユニフォームで、文化系もたとえば吹奏楽部はトランペットを吹くなりして、自慢の技を披露している。新聞部がひっきりなしにシャッターを切っていた。
いきなりの出迎えにびっくりしたらしく、髪を結いブレザーでお洒落した楓が、ひしと智依子の腰にしがみついてきた。
家族とは講堂の前で別れた。祖父母には父兄席に着席してもらい、べそをかく楓をなだめて祖父の膝に預けると、智依子は自分の出席番号が書かれたパイプ椅子に腰を下ろす。
そっと見回す。
やっぱり私だけ浮いているみたい。
みんな、年下。
どの一年生も、つい先日まで中学生だったのだ。やっぱり初々しさがちがうと思った。
校長の長すぎる話を聴く。退屈ではあるものの、この感覚が懐かしい。新入生代表たちの誓いのことばを、保護者みたいな気持ちで見守った。
入学式を示す立て看板の前で、楓と記念写真を撮影した。
「先に家に戻っておいてね」
言い残して智依子は自分の教室へと向かった。
緊張する。
1年2組、番号を確認してそっと席に着いた。
教室はやけに静かだった。嵐の接近のニュースを船中で聞いている感じ、といったところだろうか。中学時代からの友達らしい組み合わせがいくつか、ひそやかに言葉を交わしているものの、やはり様子をうかがいながらという雰囲気だ。
私が、やっぱり飛び抜けて歳上だから……かな。
不安になったが取り越し苦労だったようだ。数分後に担任の
若杉 勇人
が入ってくると、ほっとしたような空気が流れたからだ。単に、初対面の者ばかりで緊張していただけらしい。
「クラス担任の
若杉 勇人
だ。教科は日本史、座右の銘は『おもしろき こともなき世を おもしろく』――高杉晋作だな。あ、何人か『ベタすぎ』って思ってるやついるなー? 趣味は将棋と野球観戦。まだ独身、よろしく!」
口調はカラッとして快活で、教室内にただよっていた緊張がほぐれていくのがわかった。
「じゃあまあ、あれだ、定番すぎてつまらんかもしれんが、出席番号で自己紹介してくれるかー?」
最初に立ったのは、まだまだ中学生で通りそうな少年だった。
「ハイ、エビバデー! アイム、寝子島中出身の
青木 慎之介
!」
全然ネイティブじゃやない英語まじりのフランクな口調、「先生にはソーリーだけど日本史は苦手! 夢はUSA!」とか飛ばして笑いを取った。夢がUSAとはどういう意味なのか……?(留学予定だとあとで判明した)
慎之介が場を和ませたので話しやすくなった気がする。まもなく智依子に順番が回ってきた。
椅子を引くとガラッと、想像以上の大きな音が立った。
クラスじゅうの視線が集まっているのを感じる。
「……梓智依子、です」
島外の出身校を告げた。一般的にはここで趣味とか特技とか、入りたい部活、高校生としての豊富あたりを発表するのだろう。
でも智依子は、何を言うべきかもう決めている。
頬が熱くなる。
「私は、三年遅れで高校に入学しました。先日誕生日が来たのでもう十九歳です」
さすがに「えーっ!」と口にするような無作法者はないが、息を飲む音はいくつか聞こえた。
喉はもうカラカラだ。でも、ちゃんと言っておきたい。
「私には四歳になる娘がいます。シングルマザーです」
担任の若杉は事情を知っている。だが他のクラスメートにとっては爆弾発言だったはずだ。騒然となる――覚悟を智依子はしていた。しかし、
「格好いい! イッツ・ソー・クール!」
はやし立てるわけでもない。からかう口調でもない。それどころか敬意のこもった口調とともに、振り向いた慎之介は親指を立てたのである。
はじまろうとしている。
智依子にとっての『人生の新たな門出』が。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年04月15日
参加申し込みの期限
2021年04月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年04月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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