モンスターニャンター・ナイス｜リアクション

モンスターニャンター・ナイス

仙藤蒼はモンスターニャンターを開始した。
明日は日曜日だ。徹夜をする勢いでプレイをする予定である。
「最高難度の『里を守れ！』、ついに挑む時が」
里にやってきた蒼は住民達が騒がしいことに気づいた。すでにクエストが始まっているらしい。
「おいっ、あれを見ろっ」
街の入り口の向こうにモンスターの大群が見えた。種類はネコリウス、サバトラス、アビシニャン、アメショラス、ペルシャス、サイベリニャンなど、とにかくかなりの数だ。
蒼は腰の鞘から二本の剣を抜いた。

　白真白は待ちに待ったモンスターニャンター・ナイスを手入れた。もちろん、発売日に、である。
　早速起動した真白は初期装備を整え、すぐにクエストに挑むことにした。

　選んだのは、『里を守れ！』である。

　クエストを受けて程なくして、街の中が騒がしくなってきた。
「来た、ね」
　街の出口であるアーチの向こうにモンスターの大群が見えるのだ。
　怯える街の人達。あちこちで悲鳴が上がっている。
　人の群れに逆らって、真白は石のアーチをくぐって街の外へ。
　数人のハンターがすでに身構えていた。
「腕の見せ所だねっ」
　突撃槍、『ルナタワー』をくるりと一回転させると、彼らと同じように身構えた。

　蒼の武器は『黒双』、二刀流だが、このまま突っ込んでいき近距離戦に持ち込むのは自爆も同じだ。
　把握しなくては行けないのは敵の防御力と攻撃力だろうか。
　遠距離から広範囲に攻撃出来る武器が必要だろう。
　蒼ははっとした。街の入り口付近に撃猫設備があったのだ。
「何か武器を取ってくる！　誰か手伝ってくれない！？」
　手をあげたのは真白である。
「わかった。一緒に行くよ」
　蒼と真白は撃猫設備へと走った。
　鍵は開いていた。駆け込んで中を見回す。
「あ、これ」
　真白が指を指したのは兵器のバリスタだった。遠距離から敵に攻撃できる。精度は高くないが、自動迎撃をするために使えるだろう。
　蒼はたまたま足元にあった武器を見てはっとした。
「これ、使えそう」
　恐らく散弾銃の類いだ。手にしてみると、驚くほど軽い。そして、肩にかけられるように紐がついていた。
「それ、今回のニャンモンから追加された散弾銃タイプの武器だね」
「散弾銃ね」
　まず敵の数を減らさなくてはならない。
　それぞれ使う武器が決まった。
　真白は街の出入り口のアーチ横にバリスタを五体ほど並べた。
「皆っ、右手はバリスタで撃ちまくるから、左手の方をよろしく」
　真白はそう叫んで、バリスタに矢を素早くセット。
「イケーッ」
　次々に鋭い矢を放っていく。矢束は十以上あるため、不足することはないだろう。
　矢が貫通し、バタバタと倒れていくモンスター達。しかし、大群から一匹のネコリウスが飛び立った。飛翔してこちらへ攻撃を仕掛けるつもりなのだろう。
　ひゅんと風を切る音、ネコリウスが向かってくる。
「！」
　宙で体を反転させたネコリウスは尻尾の凪ぎ払いで、バリスタを一掃するつもりのよう。
「大分効いたってことかな？」
　真白は尻尾の攻撃と余波が来る前にネコリウスの死角へと飛び込んだ。
　数体のバリスタがバラバラになったところで、ネコリウスに隙が出来た。宙で凪ぎ払う技を使えばバランスを崩しそうになるのだ。
　真白は『こんがり魚』をくわえた。バリスタの使用で減ったスタミナを回復、すぐにネコリウスの後ろに回り込み、突撃槍で尻尾の根本をついた。
「でやーっ！」
「ぎゃああああっ」
　まるで人間のような悲鳴が上がり、暴れるネコリウス。
　繰り出される毒爪を槍でガードしながら、鋭く素早く槍を伸ばす。
　吐かれた炎を槍で真っ二つにして、
「ふふ、ほらこっちだよ」
　声に反応してこちらを見たネコリウスの動きが止まった。

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