牛瀬家、引っ越す？　ガレージセールにおいでよ！｜リアクション

牛瀬家、引っ越す？　ガレージセールにおいでよ！

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（へぇ～、牛瀬先生って大家族だったんだ）
　桜井ラッセルは、巧の妻と子ども達を見、僅かに目を見開く。
　彼は巧が引っ越すこと、それに伴いガレージセールを行う事を知り来た次第だが、ちらほらと見覚えのある顔があるのを見て「まぁ、色々ありそうだもんな」と頷いた。
　巧の息子の一人が、「いらっしゃいませ」と笑顔で出迎える。生活用品の場所を聞けば、彼は柔らかな笑顔で案内してくれた。
　食器やちょっとした家具が並んでいる。確かに普通の引っ越しでも不用品がかなりでる。だから、こんな風にガレージセールで処分しようとするのもわかる気がするのだ。
（俺も、大学に通う為アパートに引っ越したばかりで色々入用だ。寝子島から離れる餞別に何か買おっかな～）
　そんな考えながら品定めしていると、食器の他にまだ使えそうな小さな棚や椅子を見つける。ラッセルは運がいいと思いながら部屋に入るか吟味する。
　家具についてはリサイクルショップも当たったがいいのがなく、悩んでいたので『渡りに船』といった所だろうか。
「おう。ええのはあったか？」
　振り返ると、巧がのんびり歩いてくる。ラッセルが「引っ越し先でもお元気で」と言えば「引っ越しっちゅーてもシーサイドタウンやで」と事情を説明する。
「なんだ、デマだったのかー。なーんだ、安心した」
「寝子高にはまだ暫くおるで。次年度からは長男も入る」
　巧曰く、長男のあきらが寝子高の芸術科に入るという。父親に呼ばれて来た少年は、ラッセルを案内してくれた子であった。
　暫く雑談していた３人だが、ふとラッセルは美術用品が無いか探す。しかし、そこにはないように見えた。
（まぁ、そんな都合よくあるわけないよな……）
　そう思っていたラッセルだが、一冊の本に目が行った。その本は様々な鳥の写真が載っている。巧は苦笑しながらそっとその本に触れた。
「あぁ、それ……、間違って同じものを買ってしもうてな。よかったらもってってや」
「いいんですか？」
　ラッセルの問いに、巧は笑顔で頷く。ラッセルはデッサンの練習に使えるかな、とその本を貰う事にした。

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