牛瀬家、引っ越す？　ガレージセールにおいでよ！｜リアクション

牛瀬家、引っ越す？　ガレージセールにおいでよ！

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「ここが牛瀬先生の……」
「ガレージセールをすると聞いていたので」
　綾辻綾花と早川珪は肩を並べデートがてらガレージセールへとやってきた。ちらほらと寝子高の生徒や先生の姿を見つつ、並べられた服や家具などを見ていく。
「そういえば、牛瀬先生が高校を辞めるって噂があったんですよ？」
「もしかしたら、聞いたかもしれないな……」
　綾花は珪から『巧が引っ越す』事を聞いていた為、噂を信じていなかった。だが、事情を知らない者からすれば驚くだろう、と予測する。珪はこめかみをかきながら記憶をたどり、小さく苦笑を浮かべる。
　綾花はふと不安げな眼差しを珪に向ける。
「先生は……辞めません、よね？　ほら、遠距離になっちゃいますから……」
「あぁ、辞めないよ」
　苦笑しながら首を振る珪。彼は綾花を安心させようとするように、そっとその手を取った。

「いらっしゃい」
　家の主たる巧に挨拶をしようと探していると、のんびりとした声がした。振り返ると、巧がのんびりした様子で手を振っていた。
　珪は初めて巧の家族に会うという事で、大家族な牛瀬家に少しほっこりしているように見えた。
「今日は色々見てってな。ところで早川先生、ワイン飲むんやったらご近所さんから貰ったもんがあるさかい、持ってってくれん？」
「ワイン、ですか？　見せていただいても……」
　巧は一本のワインを「よいしょ」と言いながら持っていく。というのも、一升瓶なのである。
「流石に、大きいですね……」
　珪は目を見開き、まじまじと見る。確かにワインを飲む彼ではあるが、現在は一人暮らし。流石にこの量は飲み切れないと首を振る。
「申し訳ありません」
「そうか……。すまんな」
　二人の会話を聞きながら、綾花は賞味期限の近い非常食を見ていた。一人暮らしである彼女としてはこういった物があるのはありがたい。
「これはどうですか？　ワインにも合いそうですよ」
「それはおいしそうだな……」
　珪は幾つかの非常食を見、綾花と共にしばし吟味。二人はそこからいくつか購入する事にした。
　よく見れば、可愛らしいラッピングがされたクッキーがある。話を聞くと、いおりが作った物らしい。綾花は教えてもらえないかと問えば、いおりはレシピを教えてくれた。

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