【おまかせ】キャラ的おぎゃー！な瞬間　さーど！｜リアクション

【おまかせ】キャラ的おぎゃー！な瞬間　さーど！

　ビビこと寝子高２年の鹿園斐美（しかぞの　あやみ）の金髪は、生まれついてのものだった。
　スウェーデン人の父親ゆずりのものだが、顔立ちは日本人そのものだ。
　国際マラソン大会出場のため来日した父は、関西の老舗旅館『麓園楼』の一人娘の母と出会い一目惚れして結婚した。
　板前となって旅館を支えている。

　ちなみに旅館は４つ上の兄が継ぐことになっている。
　兄は母と同じ黒髪に色白なので、昔から並んでいても兄妹と思われなかった。
　斐美は成績優秀ではなかったので、金髪のせいで不良だと思われたりもしたが、両親の愛情をいっぱい受けてのびのびと育った。
　子供のころから兄と一緒に習った柔道が性に合い、ストレスを発散させることもできたのも良かったのかもしれない。
　寝子高に来てからは金髪も珍しくなく、人目を気にせずに済んだ。
　桜花寮での暮らしは楽しく、友人にも恵まれている。

　美味しいものに目がない斐美は、金髪をポニーテールに結いカーディガンを腰に巻いて、シーサイドタウンへ食べ歩きに向かっていた。
「新しいスイーツのお店、楽しみやなあ」
　が、途中でふと足を止めた。猫がいたのだ。
　でっぷり太ってまるまるころころした、白猫と黒猫が仲良くじゃれあっていた。
「ラブラブやな～、あんたらカップルか？」
　微笑ましく眺めていたのだが。
　急に白猫がひきつけを起こしたようになり、嘔吐した。
「な、なんや？　どないしたん？」
　吐いた後も苦しそうにえづき続けている。
　黒猫はおろおろと白猫の周りを歩き回り、救いを求めるように斐美を見上げる。
「ちょっと待ってや」
　斐美は苦しむ白猫をじっと見つめ、ろっこん『ネココロ』を発動した。
　このろっこんを使うと猫の心が読めるのだ。
「……急にお腹が痛くなった？　そりゃ大変や！」　
　美味しいお店には詳しくても、斐美は動物病院の場所は知らない。
「誰か……獣医さん知りませんか？」
　斐美は道行く人に呼び掛けるが、みんな首を振って去ってしまう。
「そんな……どないしよ？」
　その時、斐美の背後から鈴を振るような声がした。
「お困りのようだね？」　

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