思わぬ言葉が生んだ大ピンチ？　メイ先生危機一髪？！｜リアクション

思わぬ言葉が生んだ大ピンチ？　メイ先生危機一髪？！

後編：華やかな夕べにて

「いらっしゃい！　待っていたのよ！」
「ご招待、ありがとうございます」
　車を降りた瓜山メイと早川珪、綾辻綾花を出迎えたのは赤毛を短く切り、おしゃれに整えた美女。彼女は僅かながら値踏みするような眼を珪に向け……綾花を見てにっこりした。
（この人が……）
　メイが言っていた東雲かをるである、と認識しつつ、頭を下げるとちらりと珪を見、優雅にかをるは微笑んだ。
「メイの婚約者、なかなか色男ね。そちらは妹さん？」
（妹……っ？！）
「いえ、今回こちらのパーティーに招待されていた私の生徒です。方向が一緒だったので……」
　かをるの言葉に綾花が複雑な思いを持っていると、メイがすかさず口をはさむ。かをるは「そうなの」と特に興味がなさそうに相槌を打った。
「こちらが、私の婚約者。佑、こちらは私の友達とその婚約者よ」
　かをるの言葉で気づいたが、いつの間にか栗色の髪を綺麗にまとめた男性がそこに立っていた。緑色の瞳が綺麗な男性だ。体格は珪と変わらないが、少し彼より高いだろうか。
　彼は「加納佑です」と笑顔で握手を求め、３人は握手する。
「私達はまだ挨拶があるから、また会いましょ？　メイ、色々聞かせてもらうわよ」
　かをるの言葉に内心苦笑しつつメイは手を振る。人の影にかをるたちが消えたのを確認すると、３人は内心でほっ、と安堵の息を吐いた。
「妙に押しの強い女性でしたね」
　綾花がため息交じりに言えば、メイは「ごめんなさい」と申し訳なさそうに頭を下げる。
「メイ先生が謝る事ではないよ。しかし……うまく乗り切らないといけないね」
　珪の言葉に、綾花とメイは頷いた。

　立食パーティーということで、テーブルには美味しそうな料理が並んでいる。３人は途中黒崎俊介（花咲夢乃から事情はかいつまんで聞いている）と２、３話しながら過ごしていると、かをるが、調理服姿の婚約者を伴ってやってきた。
「お話はかねがね伺っております……」
　俊介が佑と話している間に、かをるはメイたちに微笑む。だが、その横顔にちょっとした呆れが交じっていた。
「ねえ、メイ。なれそめはどんな感じ？　あんな事があったんだもの、心配したのよ」
「私たちは同じ高校で働いていまして……」
　あらかじめ打合せしていたなれそめを話す珪に内心複雑な心境になる綾花だったが、かをるを観察する。まず目を引いたのが、指に光る婚約指輪だった。
　メイも偽りではあるが、婚約指輪をはめている。だが、それよりも聊か豪奢な印象があった。シャンデリアの光を受け、ダイヤがキラキラ輝いている。
　かをるは話を聞きながら楽しそうにしている。
（あんな事……？　それはさておき、フォローできるように……）
　綾花がかをるを見ていると、かをるはにこっ、とメイを見た。
「メイは、早川さんのどこが好きなの？」
「そうですね、本に対して真摯な態度で接する所とか、優しくて頼れる所ですね」
　メイが自然な笑顔で答える。今の所は大丈夫そうだがいつ『かをるが無意識にろっこんを使う』かわからない。
　打合せ通り、相手の質問に答えていく２人。仕草もなんだか自然な婚約者同士に見え、綾花の胸はちょっと軋む。それでも、３人の様子から目を離さない。

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