変身は一瞬！　バニーガール！｜リアクション

変身は一瞬！　バニーガール！

「いつの間に」
　青山絢は民家の塀と塀の間に隠れながら呟いた。突如として寝子島は黒バニーに選挙されていた。
黒バニー達が我が物顔で歩いている。
　そして絢は自分の格好を見下ろす。黒バニーにたいこうするための存在、白バニー姿になっていた。
「行くしかないわね」
　制服姿に戻り、そっと道へ出る。
「ん？　待て、お前」
　近くの黒バニーが気づいたが、素早く角を曲がり、自販機の陰でやり過ごした。この制服姿ならどうにか逃げられるが、白バニーだったらうごけなくなるところだった。
　絢は城に向かうことにした。
　山道へ続く通りへ入ろうとした時、
「！」
　曲がり角でばったりと黒バニーに出くわしてしまったのだ。慌てて距離を取る絢。
　変身するのは一度隠れた方がいいだろう。
「お仲間におなり！」
　黒バニーがこちらに手をかざしてくる。ここは魅了されたふりをした方がいい。
「あ、あれなんかふわふわする」
「ふふ、これからは私達の言うことを聞くのよ」
　歩み寄ってきた黒バニー。絢はその隙をついて、体勢を低くし、横をすり抜けた。その瞬間に変身。
　そして、
「白バニー！？」
　もう遅い。黒バニーの影響が出る前に、
「はっ」
　飛躍的にアップした身体能力を生かし、回し蹴りで吹っ飛ばした。
「きゃああっ」
　一人目撃破。絢は元の姿に戻ると、山道へと入った。
　進むこと数十分。
「……あれね」
　山に建つ城の前に来ていた。
「どう侵入しようかしら」
　と、その時。背中に何か固いものを突きつけられた
「魅了が効かない人間が現れたって聞いたけど、あなたなのかしら？」
　黒バニーだ。白バニー姿ではなかったので、動けなくなることはない。
「……」
　絢は胸元のボタンを一つ外した。
「えっと、あの、ここに来なきゃならない気がして」
　とろんとした瞳で振り返って、胸元で手を組む。
「あなたが黒バニーさんですか？」
　銃を持った黒バニーガールが首を傾げ、にやりと笑った。
「なぁんだ。魅了が効いてるんじゃない。それじゃ、仲間にしてあげる」
　隙ありだ。
「ありが、とうっ」
　黒バニーの首を狙って手刀を振り下ろす。
「うっ……」
　そこから城の通気口から中に入り、最奥のボス部屋へと到達する。
　現れたのは金色の装飾をまとったボスバニーだった。
「ふふ、よく来たわね」
　多くのバニー達を従えている。
「！」
　すぐに護衛の黒バニーに囲まれてしまう。
(数が多い……！)
　身動きが取れなくなる前になんとかしなくては。そう思っていた時である。
　誰かが入ってきた気配が。

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