駄菓子屋のプリンセス...again｜リアクション

駄菓子屋のプリンセス...again

　もう一度きらく屋に入りません？　とエレノアは秘子を誘いました。
「最後に面白いものを見せてあげます」
「喜んでお供しますわ」
　エレノアは迷うことなく玩具の一角に秘子を案内するのです。
　ここも楽しいコーナーでした。ゴム鉄砲や発泡スチロール製のソフトグライダー、竹とんぼにビー玉などが置かれているのですから。
　秘子を振りかえってエレノアは言いました。
「トランプが何種類も売られていますね」
「ええ、豆本みたいなサイズからおなじみのものまで。キャラクターものも色々ありますわね」
　気に入ったものがあったらしく、さっそくひとつを秘子は手にしております。だれでも知っているような定番少年漫画のイラストをあしらったトランプでした。紙製なので安価です。
「どうぞ好きなトランプを選んで買った後に、それをよくシャッフルしていただけますか？　お金は後で払います」
　手品ですわね？　と幼子のように喜ぶと、秘子は最初のトランプをレジに持っていく……と見せかけてさっと別の山から幾何学的な柄（味気ない柄ともいえます）のプラスチックトランプを取って購入しました。
　もう一度ふたりはベンチに座ります。といっても今度は少し空間を空けて。
　幸い風は拭いていませんでした。
　秘子は念入りにカードを切ると、整えてエレノアに渡しました。なおこのときジョーカー二枚はあらかじめ抜いております。
「結構です。さて、このトップのカード……」
　受け取って、一番上のカードをおもむろにエレノアは表に返しました。
「これがハートのクイーンだ！　……と言えば外れるでしょう」
　苦笑します。実際、表になったカードはダイヤの４だったのでした。
「ですわね」
「約50分の1の確率は引き寄せられない。でもこれのスートがスペードだ……と言えば！　ほら、当たるんですよ」《セーブ》
　さらに一枚めくるとまさしくその通り、スペードのジャックが出現したのです。
「今度は四分の一だ。あてずっぽうでも当たることはある。でも連続はできますかね？」
　いきます、と宣言して次々、エレノアはカードをめくっていくのです。
「ダイヤ、ハート、ハート、クローバーにスペードだ！」《セーブ》
　言った通りになりました。
　ダイヤの9、《セーブ》
　ハートのエース、《セーブ》
　ハートの7、《セーブ》
　クローバーのまたエース、《セーブ》
　そしてスペードのキング。
「ほら、当たるんですよ。面白いでしょう？　ハハハ！」
「ここで締めくくりだから、言ったとおりにしたほうが面白いという運命の判断が働いたのですかしらね」
　んふふふっ！　秘子はまるで、禁忌の世界をのぞいてしまったかのような声を上げました。
「もしかしたら四千回近くリセットボタンを押したのかも。いや、当たるたび《セーブ》していればそれほど大変ではないでしょうね」
「どういう意味ですの？」
「どういう意味でしょう？」
　エレノアと秘子はほほえみあうのでした。いつまでも。
《セーブ》
《終了》

　――『駄菓子屋のプリンセス...again』　了

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あとがき

担当マスター：桂木京介
ファンレターはマスターページから！

　エレノア・エインズワース様、改めてリクエストありがとうございました！　
　桂木京介です。

　本作は色々な『遊び』を仕込んでいます。意味不明な描写や台詞もあったと思いますが、それも考えた上で書いたものですので誤記ではありません。

　例によってメッセージ（およびいくつかのタネ明かし）は、個別コメント欄でさせていただきます。プライベートシナリオの特典ですね。

　それではまた、新たなシナリオで会いましょう！
　桂木京介でした。

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