俺達の旅立ち｜リアクション

俺達の旅立ち

【空港：出発口】

　バスが成田空港に着いてからは、少し慌ただしかった。
　４Fの出発ロビーまで行き、チェックインカウンターでパスポートと航空券を提示し搭乗手続き。多めの荷物もここで預けなくてはいけない。そしてこれは少なくとも出発の１時間前には済ませておかなくてはならないのだ。
　広いロビーをあっちだこっちだと、助けているのか邪魔をしているのか。わいわいと２人に挟まれながら、煉は無事手続きを済ませる事ができた。そして。
　身軽になった煉は、国際線の出発口までゆっくりと歩き、足を止める。すぐ後ろにいる正也と武道の足も自然と止まった。ここから先は、保安検査や出国審査がある。―――もう、搭乗者しか入れないのだ。

「ついに、きちゃったな」
　武道が何とも言えない顔で笑った。ちょっと俯いていた正也が顔を上げ、口を開いた。
「いざとなったら何言っていいかわかんねぇな…………煉、いつでも帰ってきていいからな！　あと定期的にそっちの美味いもん送ってくれてかまわねーぜ！」
　武道も笑顔で続いた。
「さみしくなったら電話待ってる☆　イタリア語も勉強するから、もし遊びに行ったら泊まらせてね！」
　そしてすうっと深呼吸をすると、武道はしっかりと正也と煉の肩を抱き寄せた。
「……がんばれよ、れんちゃん」

「武道、正也……」
　抱き寄せられながら、煉はこみ上げてくるものをくっと抑えた。ああそうだ、最後ではない。これは、区切り。だってこれからも俺達は続いていくんだから、絶対。
「……元気でな。２人共、頑張れよ」
　煉は姿勢を正すと手を差し出し、軽く２人と握手をする。そして綺麗な笑顔だけ残し、振り返ることなく国際線の出発口に消えていった。

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