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寝子島高校
普通がフツウになった日
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◆
澄み渡った青空の下、朝東風に桜並木がかすかに揺れる。
さやさやと桜が奏でる音色は、木の下道を行く少年少女たちを歓迎する声のようだった。
満開の桜の下を歩く彼らは、寝子島高校の新入生たちだ。
緊張した面持ちで一人歩いている新入生も居る。中学の頃からの縁なのか、早くもグループになっている新入生も居る。
出会い頭にめぐり合わせでもあったのか、待ち合わせというわけでもなしに、一緒に講堂へ向う新入生なんかも居る。
そしてここにも、ぼーっとした様子で講堂へ向う新入生の少女が一人。
どこか幼い印象を与えるたれ目のその少女は、
恵御納 夏朝
だ。
正門から続く並木道が終わりに差しかかったところで、「にゃあ」とどこからか猫の鳴く声。
夏朝は足を止め、きょろきょろと周囲を見まわす。
(……"ねこ"高、だから。猫さんいるのかな)
ぼーっとした表情はそのままに。猫を探すこげ茶の瞳には、微かな光が覗いている。
(……いた)
並木が途切れるあたりの桜の枝に、一匹のぶち猫がちょこんと座っていた。桜の布団の下で眠っているようにも見える姿に、夏朝の心がほわりと和む。
夏朝の視線に気づいたぶち猫は、背中を伸ばして鳴き声ひとつ。そのまま枝からひょいっと飛び降りて、正門の方へ走り去ってしまった。
(いっちゃった。ねこ高の猫さん……じゃ、ないのかな)
猫がたくさんいる島だ。一匹や二匹、敷地内に紛れ込むくらいは珍しいことでもないのかも。
「また会えるかな」なんて思いながら、猫の後ろ姿を見送って。
それから夏朝は、入学式の待機場所となっている教室へと向かうのだった。
教室ではさっそくアクシデントが待ち受けているなんて、この時の夏朝は露も知らない。
――そして、講堂の時計が10時10分を指した頃。
入学式は始まった。
教室に待機していた新入生たちが、いっせいに講堂へと移動を始める。
講堂は校舎へ向かう時にも姿を覗かせていて、その時にも大きいなとは思っていた。けれど間近で見ると、その時計塔のよう姿は、なおのこと大きく感じられた。
しばし講堂を見上げた後、夏朝は正面の短い階段を登っていった。
登った先が入り口だ。入場に合わせて演奏をしているのだろうか、音楽が聞こえてくる。
入り口で受付を務める上級生に、夏朝はクラスと名前を告げた。
「普通科、1年4組……恵御納 夏朝です。よろしくお願いします……」
夏朝が受け取ったのは、赤いリボンだった。ちらりと目に入った中には、"新入生の誓い"の黄色いリボンを渡された子も居たようだった。
リボンを胸に入場する夏朝たち新入生。出迎えるのは吹奏楽部の演奏と、二階席から降り注ぐ上級生たちの拍手だ。
広い講堂いっぱいに響く音楽と拍手に、夏朝は改めて入学式の――そして、寝子高での生活の始まりを実感する。
「……楽しみ、だな」
口元にほんのりとした微笑を浮かべ、夏朝は1年4組の席へと向かう。
クラス内の座席については、自由にしていいらしい。夏朝の今日の気分は、前の隅っこだった。
片方には、クラスメイトが既に座っている。
反対側はまだ空いていたから、そっちの端っこへとちょこんと腰を下ろした。
ぼーっとしながら、式が始まるのを待つ。
次第に4組や他のクラスの座席も埋まってきて、周囲も賑やかになってくる。
そんな中、どこからか「猫」と聞こえた気がした。
それだけで、なんだか少し和んでしまう。
(さっきの猫さん……は、さすがに違うかな。どこかに居るのかな。先生の……飼い猫、とか?)
つい気になって、声のした方へ行きたくなってしまう。
席からお尻を浮かせかける夏朝。途端、クマに睨まれたような圧を感じて、動きが止まる。
さっき教室にやってきた力持ちの先生が、こっちを――4組のあたりを警戒しているような気がした。
……教室に小象を連れ込んでドアを破壊したクラスなので、警戒されるのは仕方ないとも言える。夏朝が何かをしたわけではないけれど。
動かない方がいい気がしたので、座りなおしてじっとしていることにした。
そうして、新入生の入場が終わるまで待つことしばし。
「これより入学式を開……」
マイク越しの教頭先生の声に、夏朝は背筋を気持ちピンと伸ばす。
けれど、
「まもなく入学式を開始します。お静かにお待ちください」
始まらなかった。
ほわほわした先生が慌てて1組の方へと駆け出すのが見えて、何があったのだろうと目で追いかける。
ややあって教職員の列へと戻る先生が抱えていたものに、夏朝は思わず首をかしげた。
「……ブロッコリー?」
どういうわけか、先生は大量のブロッコリーを抱えていた。
なぜ入学式の会場にブロッコリーがあるのか。しかも調理実習に使えそうなくらい大量に。
そんな謎のトラブルに、クラスメイトの一人が恐ろしいことを言い出した。
「コッチももう一波乱起こしとくか?」
しかも、それに乗っかりそうなクラスメイトも出てくる始末。
「こ、これ以上は、騒ぎ起こしちゃダメ……」
流石に止めに入った。
ドアの破壊にブロッコリーで、先生たちの警戒は既に相当なものだろう。
このうえ何かやらかしたら、「バカタコがっ!」ではきっと済まない。
他の級友の言葉もあって、思いとどまってくれたところで、
「新入生、起立!」
ほっとする間もなく、夏朝は姿勢を正して起立した。
◆
終わらない校長先生の式辞に、マイペースな祝電披露、生徒会長の祝辞からの理事長の到着とクーラーの導入決定。
まさに生徒会長の祝辞通り、「自由と自律の学校」ぶりを見せつけながらも入学式は進んでいく。
そして寝子高入学式伝統の、"新入生の誓い"が始まった。
真面目なものから個人的なもの、演説に片足突っ込んでいるものまで、様々な希望や意気込みが語られていく。
「みんな、色々考えてるんだなぁ……」
"新入生の誓い"を真面目に聞こうとして、夏朝は話のところどころで頷いていた。
"過去に特に何もなくて、普通の子"だった夏朝には、"誓い"の言葉はうまく考えられなかったかもしれない。
どーん!
大きな音がして、講堂が揺れた。
何か大きなものが落ちてきたような、そんな音と揺れだった。
(え? ……い、今の音、何?)
席には座ったまま、けれど目を白黒させて周囲を見まわす夏朝。
(講堂にひびとか入ってたらどうしよう)
その心配とはまったく別のところで、講堂の様子はさっきまでとはまるで別のものになっていた。
しんと静まりかえった講堂の中は、もやがかかったようになっていた。
時が止まったように動かない人も居れば、夏朝のように辺りを見まわしている者も居る。
そんな夢のような薄ぼんやりした静寂の中を、一匹の猫だけが動き回っていた。
(これは……夢? 猫さん可愛い……)
やがて猫は、一人の女子生徒の前で立ち止まった。
頬を押したり頭を引っ掻いたりした後、猫はあきらめたように少女の肩にすっと乗った。
そして、猫は語りはじめる。
――俺の名はテオ。エライ神様だ
ここで固まってるのは、ののこ。もっとエライ神様だ
(神さまな猫さんと……すごい神さま……)
夏朝はぼんやりと、猫さん――テオの説明に耳を傾ける。
神魂。
ただの人間になった神様。
飛び散った神魂と結びついた人間が変化する、“もれいび”という存在。
“ろっこん”という特殊能力。
夢のような世界の中で語られる、夢のような話。
信じるとか信じないとかを考えることもなく、夏朝はなんとなくテオの話を受け入れていた。
すべてが朧気な現実感のなさのせいで、かえって受け止めやすかったのかもしれない。
(もれいび……僕も、そうなのかな……)
自分の声が聞こえるということは、もれいびになったということだ。テオはそう言った。
だからきっとそうなのだろう。……と言っても、何も変わった感覚はなくて、だから実感も何もないのだけれど。
話すだけ話すと、テオは夢の世界を閉じてしまった。
立ち込めていたもやは晴れ、講堂には洪水のようなざわめきが戻る。
轟音と揺れに慌てふためく声、もう収まったと言い聞かせる声、声、声。
教頭先生の呼びかけもあり、講堂は徐々に平静を取り戻していった。
その中に、神さまを自称していた猫の姿はない。
(あ、れ……?)
夢でも見ていたのかと、目をこすって首をかしげる夏朝。
「もっとすごい神さま」の女の子の姿も探してみるけれど、みんな起立している中だと正直よくわからない。
そのうち隣のクラスの生徒に、"新入生の誓い"の順番がやってきた。
――新入生の誓い
1年5組、野々ののこ
その新入生の名前は、ついさっき夢の中で聞いたのと同じものだった。
「ののこ……さん? もしかして、か……」
神様、と言いかけて。慌てて口を閉じる。
隣の級友の視線に、「あ、えっと……猫の絵、ぜひ見てみたい、な」と慌てて軽くごまかした。
寝子高で、寝子島でやること、やりたいことが、立て板に水を流すが如くに垂れ流される。
口笛を吹いて茶化す上級生も居たけど、そんなのにはお構いなし。
ののこは無数の誓いを――否、願いを口にする。
そしてその無数の願いは結局のところ、とてもシンプルなものだった。
「青春、や、やりますっ!!!」
すごい神様らしからぬ普通の、いやフツウの願い事。
叶えられるといいなと思ったし、自分も叶えたいなと夏朝は思う。
(僕がやりたい事……何だろう……?)
改めて考えてみると、案外パッとは出てこない。
"普通"の高校1年生として、寝子高での生活を楽しいものにはしたいと思う。
そんなことを考える夏朝の耳に、誰かの"誓い"の言葉が聞こえた。
――フツウを死守しますッ!
夏朝の口元に、かすかな笑みが浮かぶ。
守れると良いと、そして夏朝も守りたいと思った。
ひとつ、やりたいことができたのかもしれない。
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担当ゲームマスター
風雅宿
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
学校生活
定員
5人
参加キャラクター数
2人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年09月30日
参加申し込みの期限
2020年10月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年10月07日 11時00分
参加キャラクター一覧
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