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寝子島高校
普通がフツウになった日
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◆
年度最初の放課後の図書室を、
万条 幸次
は入学早々に訪れていた。
らっかみについて調べるためだ。最初はスマホで調べようとしたのだが、情報は何も見つからなかった。
小さな島の伝説だし、インターネットに情報を載せようとする人なんて居なかったのかもしれない。
だけど学校なら、地元の昔話や言い伝えをまとめた本の一冊もあるだろう。
そう思って今は、地域の本コーナーの棚の前に居る。
「これは……歴史の本か。えっと……」
小声でぶつぶつ呟きながら、手にとった本を棚に戻す。
ずらっと並んだ背表紙を見ていると、目が滑る感じがしてくる。どれが目的の本なのだか、わからなくなってきてしまう。
考えてみれば、図書室で調べ物なんて小学生の授業以来だ。
そもそも最近まで、本を読んでもすぐ寝ちゃってたし。
(集中力ないんだよなあ)
それでも、調べてみたいと思ったのだ。スマホで見つからなかったから諦める、ではなくて。
そんな幸次がじいっと棚に注ぐ視線は、どこか春の陽気に浮かされたようでもあった。
そしてようやく、それらしい本を発見。
「あ、あったぁ!」
思わず大きな声が出てしまい、緑の校章をつけた人たちに睨まれた。
「図書室では静かに」
「あ……す、すみませんでした」
本を盾のようにして縮こまり、平謝り。そそくさと隅っこの空席へと移動した。他にも空席はあるのに隅っこに着いたのは、大声を出しちゃった居心地の悪さのせいだろうか。
幸次が見つけた本は、すばり“落神伝説”そのものについての本だ。けっこう古い本なのか、古びた紙の匂いが微かに漂ってくる。
この本みたく古いものしか資料がないのだとしたら、スマホで見つけられなかったのも当然な気がした。
慎重に本を開いて、序説だとかをすっ飛ばし、伝説について書かれたページを探す。
上の見出しを頼りに目的のページを開いた途端、幸次は面食らうことになった。
(よ、読みにくい……)
字が小さい。
ページに文字がみっちり詰まっている。
行間もあまり広くない。
読む前から、既に目が滑る!
そう。幸次が見つけた本は、読みにくかった。古めの本だとしばしばあるやつだ。
読書する集中力に乏しい自覚がある幸次にとっては、これはかなりつらい。
面倒だな、と一瞬思ってしまう。
しかし落神伝説についてわかりそうな本は、他にはないのだ。少なくとも、幸次に見られるものはこれしかない。
一回本を閉じ、気合を入れるように深呼吸。
もう一回開く。
やっぱり読みにくい!
自分がどの行を読んでいたのか、見失いそうになる。しかもそのせいか、若干眠気まで襲ってくる。
うるさくならない程度にぺちぺちと頬を叩き、気合を入れ直す。
けれどそれで読みやすくなるわけもなく、どうすれば良いかを考える。
少なくとも、調べるのを止めるという選択肢はない。
考える幸次の制服のポケットの中で、メールでも来たのかスマホが震えた。
(あ、そうだ)
ふと思いつく。
スマホを行の仕切り代わりにすれば、今どこを読んでいるかわかりやすい気がする。
試しにやってみると、これがなかなか具合が良い。
おかげで、幸次はなんとか本を読み進めていくことができた。
(『らっかみ』とは天から落下した神で、元々は『落神(らくがみ)』と呼ばれていた……。……天から落下、ってことは)
入学式の時のあのすごい音と揺れは、神様――ののこが落ちてきた時の音なのだろう。
隕石でも落ちてきたかと思うほどだったが、穴が空いたりが一切なかったのは、ののこが神様だったからなのか。
(そういえば神様の居た天ってどこなんだろう。空の上なんだろうけど……もしかして宇宙とか?)
そんなとりとめのないことを考えながら、幸次は本を読み進めていく。
本によれば、昔々に神が落ちてから、地震に火山の噴火に竜巻、飢饉といくつもの天変地異が発生したとある。
どれか一つでも一大事なのに、次々に起きたというのだから恐ろしい。一体どれほどの被害が出たのだろうか。
しかも神様が落ちてきたことによる天災は、それだけでは済まなかった。
謎の妖怪や怪物までもが現れて、寝子島も世の中も大混乱になったとすら書いてある。
本に載っている伝説には、「混沌の世界」とまで書かれていた。
実際、本を読む幸次の頭の中には、終末もののSF映画を全部いっしょくたにしてクライマックスを迎えさせたような、そんな凄まじい絵面が浮かんでいた。
(これもう人類が終わるんじゃないかな……? っていうか、これよく滅びなかったなあ、寝子島)
肝心の落ちてきた神様は、山の中にこもって何もしなかった。
島民たちはもちろん助けて欲しいと懇願しに行ったが、神様は島民の願いを叶えてはくれなかった。
どうして神様は、願いを叶えてくれなかったんだろう。
そう思った幸次だが、そこでテオの言葉が思い出される。
――神魂を失ったののこは、表向きはただの人間になってしまった。
確か、テオはそんなことを言っていたはずだ。
もしかしたら昔々の時も同じで、神様はただの人間になってしまっていたのかもしれない。
(だとしたら、神様は叶えなかったんじゃなくて、叶えられなかったのかも?)
実際どうだったのかは、今となってはわからないけれど。
そして諦めた一人の島民が、逆に神様に願いを聞いた。
その神様が口にした、「海が見たい」という願いを島民が叶えたことで、
(『この世の混沌はおさまって元に戻り、神様は去っていった』とさ。めでたしめでたし……)
本には他にも、似たような言い伝えや昔話について書かれていた。
ところどころ違うことはあるけれど、だいたい大筋は最初のと一緒だった。
つまり、
(神様が落ちてきて色々大変なことが起きて、最期は神様の願いを叶えてめでたしめでたし、か)
これではっきりした。
伝説と同じことが、今まさに寝子島で起こっている。
神様が落ちてきて、その神様には願いがあって。
世界がとりあえずそのままなのは、ののこが現在進行系で青春を楽しんでいるから――願いを叶えているから、なのだろう。
逆にもし、ののこがあり得ないものに出くわしてしまったら?
その瞬間に、世界は混沌に呑み込まれてしまうのかもしれない。
本に書かれていた「混沌の世界」の描写を思い出し、幸次は胸がドキドキして、そわそわしてくるのを感じた。
でもそれは、大変なことになったことへの不安だけじゃない。
これから何が起こるのか、わくわくしているのだ。というか、正直そっちの気持ちのほうが上回ってる。
わざわざ図書室まで来て文献を探して、工夫までして読んだのだってそのためだ。
不安しかないなら、不安が勝っていたなら、スマホで見つけられなかった時点で調べるのは諦めていただろう。
昨日までの幸次には、やりたいこととか、人生の目標とか何もなかった。ぼけっと過ごしてた、と言ってもいいだろう。
でもそれが、そんな自分が、今から変われるような気がした。
昔々の落神伝説がそうだったように、今の落神伝説をめでたしめでたしで〆るため。
それまでの3年間を繋げるという、大きな使命を背負ったのだから。
本を閉じて棚に戻すと、どことなく軽い足取りで幸次は図書室を後にした。
◆
正門まで来たところで、幸次はふと立ち止まった。
桜満開の正門は、朝通った時と変わらない姿でそこにある。
でも今の幸次には、朝とはまったく別のものに思えていた。
朝、この門から校内へ足を踏み入れた時。始まるはずだったのは、普通の高校生活だった。
でもこれから始まるのは、普通の高校生活じゃない。
風がそよいで、満開の桜が揺れる。
さやさやと桜が奏でる音色は、これからフツウを死守する少年少女たちへのエールのようだった。
深呼吸して、一歩踏み出す。
この世界の命運をかけた、普通じゃないフツウの高校生活が今始まる!
この一歩はただの一歩じゃない、フツウの始まりを告げる一歩なのだ!
「あ、猫だ」
正門から出てすぐのところで、一匹のぶち猫を見かけて足を止めた。
もう一匹、別の猫と戯れ……いや、違う。もう一匹の方はパペットだ。
ぶち猫は、猫のパペットを着けた女子生徒――
恵御納 夏朝
と戯れていた。
夏朝の動かすパペットに、ぶち猫はしゅっしゅっと猫パンチを繰り出している。
(カメラあったらなあ……)
その様子を見つめていると、視線に気づいたのだろうか。夏朝が、んっと顔を向ける。
「……君も猫さん好きなの?」
「えっ? あ、うん。猫は大好きだよ。……その猫のパペット、手作り?」
「うん」
こくりと頷く夏朝。
このパペットは、島に来る前に当時の友人と作った大事なもの……否、友達だ。
カバンからおもちゃの猫じゃらしを取り出すと、パペット越しに持ってぶち猫に向ける。
猫じゃらしと戯れるぶち猫。
その様子を眺めながら、夏朝はぽつりと呟いた。
「講堂で見かけた猫さんも、可愛かったな。どこいっちゃったんだろ……」
「講堂って」
軽く驚いた声を漏らした幸次を、夏朝は首を傾げて見上げる。
「どうしたの……?」
「講堂の猫って、テオって猫のこと?」
「そう、テオ君。じゃあ、君も……?」
頷く幸次。
「俺もテオの声が聞こえたんだ。それでほら、野々さんの"新入生の誓い"もあったし」
それで気になったから、らっかみのことについて調べていた――幸次の話を聞いた夏朝は、彼に問いかけた。
「……君も、フツウを死守したい?」
「うん。何が起こるかわかんないし、大変なことだってあると思うけど」
でも、と。はにかむながら彼は言う。
「守りたいって、決めたんだ」
幸次の答えに、夏朝は柔らかく一笑した。
「僕も、守りたい……かな」
フツウを守る決意を抱いた二人の耳に、「なーお」とぶち猫の声が響く。
視線を戻した時には、もうぶち猫は門の反対側の方へと去ってしまっていた。
◆
夏朝と別れ、幸次は家路を急ぐ。
調べ物して、雑談して。なんだかんだと遅い時間になってしまった。
けれど、その足取りは軽い。フツウの高校生活への決意と期待のせいだろうか。
横断歩道に差しかかったところで、チリンチリンとしつこく連打されるベルの音。
信号が変わるギリギリで飛び込んできた自転車に、軽く飛び退いて身をかわす。
危ないなぁ、とその後ろ姿を目で追いかけた時。
「あっ!」
あることを思い出し、ドキっとした。
「……チャリ忘れた」
今日乗ってきた自転車、駐輪場に置きっぱなしだ。
急がないと、正門が閉められてしまうかも。……それは困る。
学校を出た時はかっこよく締めようとしていたのに、さっそく失敗してしまった。
しかも締めようとしていた時には、もう既に失敗してたわけで。
(本当に俺、変われるのかな……?)
歩いてきた道を慌てて引き返しながら、そんなことを思う幸次だった。
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あとがき
担当マスター:
風雅宿
ファンレターはマスターページから!
……と、いうわけで。
フツウが始まった入学式の日の一時、いかがでしたでしょうか。
セカンドシーズンも最終話が予告された今日この頃、
フツウの始まりの日に思いを馳せ、
懐かしいひとときを楽しんで頂けたのであれば何よりかと思います。
風雅としてもらっかみ!の始まりの頃を思い出す、
大変貴重な機会を頂けましたことに感謝を。
それでは、また。
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風雅宿
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
学校生活
定員
5人
参加キャラクター数
2人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年09月30日
参加申し込みの期限
2020年10月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年10月07日 11時00分
参加キャラクター一覧
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