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貴女を想えば
【貴女を想えば】
「わぁ、綺麗ー!」
八神 修
と
七夜 あおい
が降り立った先、そこには針葉樹の緑と足元から連なる雪の白が一面に広がっていた。澄んだ森の空気が二人を包み込んでいる。雪が日光に反射して煌めいているさまに、あおいが思わず感嘆の声を上げた。
「ああ。
しかし、この地域は今の北海道ではあり得ないくらいに雪が少ないと聞いていたが、本当だったんだな」
修が、数歩ほど足を踏み出し雪を踏む。それは少し重く持ち上げる足を捕らえたが、歩くのに不便な程ではなかった。
北海道の二月。空気は澄み抜いた水のように冷たいのに、この地域の降雪量は、確かに神魂の影響すらも窺わせるほどに少ない。
しかし、こうして旅行として訪れるには好都合には違いないだろう。
むしろこの状況は有難いと、修とあおいは早速到着したコテージの中を探索することにした。
「凄い、吹き抜けなんてあるんだね!」
「外から見ていたものよりも、ずっと広く感じるな」
二人でコテージ内を一箇所ずつ確認していく。ツアーコンダクターの話によると、ここは長期滞在も想定した造りになっているとのことらしい。
「ということは……あった、地下室だ」
「えっ、このコテージ地下まであるの?」
コテージの中、少し存在感の薄い階段を降りていく。すると、そこにはレクリエーションルームが広がっており、ビリヤード台などの一揃いが置かれていた。
あおいが物珍しそうに瞳を輝かせたのを見て、修は時間があればここで潰すのも悪くないなと思い記憶に留める。
そして、互いに就寝部屋こそ異なるが、それらが並ぶ二階廊下の突き当たりに、二人は足を止めた。
開けた大きな窓がある。遠くまで見渡せる景色の一部が、何かに反射しこちらに光を届けて来ていた。
「あそこに見えるのは何かな?」
あおいの言葉に、修も目をやる。そこには、さして離れていない距離に広がった、太陽の光を受けて透き通る、濃い水色に照らされた大きな湖があった。
「湖、綺麗だったね!」
小さな感動と共に階段を降りながら、あおいが嬉々とした様子で感想を告げる。
これから先の時間は、修はあおいと事前に他のコテージ利用者との相談した上で、共に夕食の料理を作る時間となっている。
これは修がおあいの手料理を独占して食べられる絶好の機会でもあった。普段から、あおいの手料理の腕は凄惨の極みであり、喜び勇んで率先して食べる人間というのは非常に限られたものであることから、修は文字通り、愛の力で『世界に存在が許されるかも分からない、絶世の味』という規模の料理を喜んで食べてきた。
だが、これが食事まであおいと一緒となれば、少し話は違ってくる。
もし、あおい自身が何の下拵えもなく己の料理を食べてしまえば自信喪失どころではなくなってしまう。
そうならない為に、どうしても修側にも『客観視』という、あおいの料理に対してこの上なく無粋なものが必要となってしまうのだ。
とはいえ、そうともなれば手伝うことには躊躇いも何もない。
――自分が手伝えば美味しく出来る、あおいにそう思ってもらえれば、修にもこの上なく嬉しいものであったから。
だが、修は先程あおいが今降りてきた階段の上、先程目にしていた湖が気になる様子を目に留めて、少し思案を巡らせた。
「湖、行ってみようか? 俺はどっちも楽しそうだなって思うよ」
「う~ん、でもお料理と平行……難しいよね。
どっちも行けたらいいんだけどな」
しょんぼり肩を落としたあおい。そこに修は、口許に自信深く笑みを浮かべてみせた。
「ふむ――任せろ。その手の段取りは得意だ」
――一番はあおいと楽しむことだもの、と。
勉強だけではない。この思考と頭は、こういうときの為にこそあるのだと。
そう。修としては、とりわけ不思議なことを言ったわけではない。だが『あおいと楽しむこと』と――続けて発せられた、その言葉を正面から受けたあおいは、一拍の間を置いてから顔を林檎のように赤くして首を横にぶんぶんと大きく振った。
「シチューは、後はルーを入れるだけ……少し、物足りないかな――?
うん、ちょっとだけお醤油入れた方が美味しくなる?」
「いや、待ってくれ。
……――料理はまず、レシピ以外に一手間を加えない方が素材の味を生かせる。その方が素敵だろう?」
夕食に何を食べるかは自由となっている。先のやり取りの後、さっそくキッチンの一つを借りて、修とあおいが夕食用に下拵えを開始した。
今日の料理はシチューにローストビーフとノンアルコールのサングリア。
しかし――シチューの段階において、さっそくあおいの料理が凄惨たる理由の一端が浮き彫りになった。修はその指摘を内心慌てて制止しつつ、あおいを納得させられる言葉を探して、何とかそれを上手く伝えることで、あおいの自信喪失フラグ回避に成功する。
傍らでは、ローストビーフをラップとアルミホイルで包んで、80℃のお湯に入れて余熱調理中。ノンアルサングリアは、カットした果物をブドウジュースに入れて、二つの味が染み込むまで可能な限り置いておく。
これらに関しては修の時短テクニックのお陰で、余計な手間を殆ど省き、本来の時間に大きく手間の掛からない余裕が出来た。
「うんっ、これなら出来上がりが楽しみだね!」
「そうだな。じゃあさっき見掛けた湖に行ってみよう。
どこで雪が大きく積もっているか分からないから、準備だけはしっかりとね」
そうしてコテージを出た二人は、さっそく先ほど目にした湖に向けて歩き始めた。
立て看板もあり、どうやら道に迷うことはなさそうだ。矢印の先には、まだ今日はここには誰も訪れていないのか、足跡一つない雪道が続いている。
「わぁ、綺麗な雪! 足跡をつけてしまうの躊躇っちゃうよね」
その中を、あおいは一歩一歩を注意しつつ緊張した足取りで進んでいく。その様子ならば滑らないようにと言う必要もなさそうだ。
ただ、慎重に進む為に完全なペンギン歩きになっているあおいは、修には口には出せないがとても可愛らしく思えて、つい口許に小さく微笑みを作っている自分息づいて。つい、そこに心が温かくなるのを感じ取っていた。
しばらく歩いた先、ふいに左右の林が開けて、目の前に澄んだ湖面が露わになった。
湖は、北海道の二月でありながらも、不凍湖であるのか、それとも現状この地を覆う気候の影響か。三分の一程が凍り付いた場所以外は、青のグラデーションと共に水面が細波を立てているのが見えた。
それは僅かな静寂を伴って。他に誰もいない二人の空間として良いものか躊躇われるくらいに、広く雰囲気に呑まれそうなほど神秘的に感じられた。
「……綺麗だ」
「うん……一部だけ凍ってるのも綺麗だね」
「せっかくだから写真に収めておこう――あおいも」
修は取り出したデジカメで何枚か写真を撮った後に、ファインダー内にあおいを誘う。
「えっ、私も……!? だったら修君も一緒に撮ろうっ? せっかくなんだし」
「え、俺も――?」
不意を突かれたあおいの言葉に、修が珍しく躊躇いを浮かべる。
「……一寸照れるな」
「いまさらだよ! 前に
ウェディングドレスの写真だって撮ってる
のに」
「――!」
その一言は修の胸を撃ち抜いた。確かに写真を撮った事実はある。だが、女性にとってウェディング写真というのは特別であるべきものだ。故に、修の脳内では互いに花嫁花婿にコスプレして写真を撮ったつもりで心に納めていたのだが。
「あれはコス……まあ、そう言うなら」
――喜んで。
デジカメであれば、自撮りでも上手く撮れる。そうして湖を背にした等身大の大切な思い出は、綺麗に胸と写真に納まった。
それから――夕暮れも大分前に過ぎ去って、深い夜がやって来た。
雪も全く降る様子がない、星があまりにも眩しく輝く夜。コテージの人は望遠鏡やカメラを用意して、今回の旅行の目玉であるオーロラが、いつ現れても良いように準備をしている。
美味しい夕食を終えた修とあおいも、同じくオーロラをコテージの共有スペースから見ることにした。
そして、肌に触れる透明さまで感じさせる寒さを少しでも凌ごうと、共有スペースに出ている幾つかの椅子とテーブルの一つについて、その瞬間を待つことにした。
「あおい、これ良かったら。寒いだろう?」
冷える夜にあおいに差し出したものは、コテージに備え付けである防寒用上着と温かい膝掛けだった。
「あ、うんっ。ありがとう」
あおいが笑顔でそれを受け取っていそいそと上着を羽織る。テーブルの上には、ここに来る前に用意した、温かい紅茶の入った魔法瓶のポッドが二つ。
しかし、しんと音がしそうな冷たい空を見上げていたあおいが、席につく前に、何かを思いついたように一つ頷いた。
「ツインテールは少し冷えちゃうかな。
うん、ちょっと中で髪降ろしてくるね」
「目の前で降ろしてもいいのに」
「ううん、降ろして髪が乱れてたら恥ずかし……い、行ってくるね!」
そう告げると、あおいは急いでコテージの中へと戻っていった。
何度か、修はあおいが髪を下ろすさまを目の前で見たことがあるが、
「……」
――前は、そんなことを気にする様子もなかったのに。
修は、その事実に気が付くと、自分でも珍しいと思える程に胸がくすぐられるような、それとも焼け付くような想いに駆られた。
この感情は、何と言うのだろうかと。少し思案して思い至る。
――ああ、好き、だ。
修が改めて思い直す先。戻って来たあおいの姿は、修の目にはやはりいつもより大人びていて、そして穏やかでありながら、この上ないほどに眩しく見えた――
「わぁ、すごい!」
そして訪れた夜半過ぎ――漆黒の夜空に綺麗な朱色に輝くオーロラが、まるで空にたなびく雲のように湧き立ち始めた。
「これは……ああ、そうだな」
北海道のオーロラは低緯度の関係により赤色を帯びている。まるで空を海にした朱が波のように揺れ始め、夜空の星はまるでオーロラの波から弾けた飛沫のように煌めいていた。
長い間、二人はそれに釘付けになっていた。寒さも忘れて見入ること、どのくらいの時間が経っただろうか。いつしか、どちらからともなく上げていた顔を降ろし、そして互いの瞳がゆっくり合って満足げに微笑み合った。
「オーロラ凄く綺麗だったね、見れて良かったよ!」
「ああ。でも――」
とても素晴らしいものを一緒に見られた――これだけでも、とても素敵な思い出だと思う。だが修は、そこにほんの少しの胸が高鳴ってもらえるような要素がほしくなって。
「でもツアーとは言え、異性と二人旅だなんて、皆にはちょっと内緒かもな。
あおいは、列車とかクルーズとか、俺と色々出かけてくれるけど……」
そう口に出した修の言葉を途中に聞いて。あおいは、今までの自分の行動を振り返って、思い出しては少しの混乱と動揺を露わにして申し訳なさそうに問い掛けた。
「あ、あれ? もしかして、迷惑だった?」
「ああ、違うんだ。そういう意味じゃなくて――俺は嬉しいよ、勿論ね」
あおいが慌てふためく様子も可愛らしくて、修も思わず小さく含み笑いを零す。
「でも、男は狼なんだから、気を付けないとだよ」
それは、あまりにもお約束的な常套句。
――信頼してもらえてるのかな?
それとも期待してくれてる?――
いつもあおいが照れてドキドキしてくれるのが可愛いから。少し小悪魔の囁きに耳を傾け、そんな言葉という形にして続けようとした修に向けて、
「――? でも、修君だから大丈夫だよね?」
あおいの心にあったものは、そこに疑い一つも存在しない、修に対する絶対的なまでの信頼だった。
「――っ」
この信頼は、修にとっては万金にも勝る、唯一無二のかけがえのないものだった。
今まで、全てにおいてそうあるように願ってきた。例えばこの瞬間の恋という駆け引きにおいても、これを失うくらいならば修は自死すら選ぶであろう。
形となったあおいの言葉に息が詰まった。一瞬にして、無意識に恋という分野の主導権が奪われたのを感じ取る。
それでも――相手の想いが崩れない程度に、ほんの少しだけ、修はいじわるだけではない心の想いを口にした。
「……分からないぞ、相手はあおいなんだから」
改めてしまえば、恥ずかしいことこの上ない。だが今の自分がこうであるのだから、あおいにもほんの少しであっても、その心を揺らしてほしくて。
零した言葉に、あおいの顔がやはり先のオーロラの色のように赤く色づく。
「そ、そうかな……?
で、でも、ね……何だか、こうしていると……」
もじもじと口籠もりながら、あおいが言葉を探すように視線を彷徨わせてから――
「人と……お付き合いするって、こういうことなのかなって……思う、よ?」
修が驚きに目を見開く。
「――君と、なら……いいの、かなって思――ごめん! 何でもないっ! 忘れて!!」
そう言ったあおいの顔は全身の紅を集めたかのように真っ赤になっていた。だが、修はそれで総てを察する。
たとえ全てが聞き取れなかったとしても。今、ここには――今、二人しかいないのだから。
空には綺麗なオーロラと星が見守ってくれている中。このような世界の下で、あおいからこの言葉を聞けるとは。
忘れてと言われて、忘れられるはずがない。
それは、以前にあおいと観た映画の如く、何十年、否、生涯にわたっても。たとえ、この歩みが互いに他の道を進んでも――きっと忘れることはない。
あおいの言葉が修の胸の中でオーロラよりも、星よりも、何よりも輝いている。
「――あおい」
修は優しく微笑んで、ほんの少しの勇気を出して愛しい人の名を呼んだ。
それを受けて、照れたのを取り戻しきれないように。それでも、あおいは修を目にして微笑んだ。
二人をオーロラが包み込む。
この奇跡にも感じられる瞬間は、互いに決して忘れ去られることはないであろう。
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あとがき
担当マスター:
冬眠
ファンレターはマスターページから!
こんにちは、MSをつとめさせていただきました冬眠と申します。
八神修様、この度はプライベートシナリオにご指名をいただきまして誠に有難うございました。
詳細につきましては、プライベートシナリオの醍醐味と致しまして個別コメントにて記載をさせていただきますが、こちらリクエストをいただきましてから、様々思案の末、出来る限り素敵なお時間となるように執筆させていただきました。
少しでも、修様のお心に残るものとなりましたら、この上ない幸いでございます。
それでは、この度は誠に有難うございました。
またご縁ご機会がございましたら、どうか何卒宜しくお願い致します。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
冬眠
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年09月12日
参加申し込みの期限
2020年09月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年09月19日 11時00分
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