天界よりの試練　――神代の矢放つナホエル――｜リアクション

天界よりの試練　――神代の矢放つナホエル――

結：戦い終わって

＊　＊　＊　＊

　――混霊界の断片・某所

「こちらに来るのも、時間の問題でしょう」
「俺たちのうちの誰かが、喰われてもおかしくねぇ」
「決戦の時は近いのかしら……」
「こちらも準備をしていますが、あと少し時間稼ぎしていただきたいですね」
　今まで冒険者たちと戦ってきたコズエル、ユヅキール、ミサラトテップ、キーシェイロンが、彼らの前に立つ極天使と魔侯爵を見つめる。その傍らには、ケイファとフェラマも控えており、２人の言葉を待つ。だが、その２人ではなくどこからともなく現れた少年によって静寂はかき消された。
「とりあえず、時間稼ぎの方はこのお二方も色々考えてるとおもうよ。次は、オレが試練を出すから、みんなよろしくぅ～♪」
　それだけ言うと、少年はふわっ、と姿を消す。
「――、相変わらずですね」
　コズエルが苦笑すれば今まで黙っていた極天使がおっとりとほほ笑む。
「次の試練を一区切りとし、冒険者たちを混霊界に召喚しての最終調整をと思っています」
「そうだな。とらえられた冒険者の事も気がかりだからねぃ。その場所さえつかめたら試練より先にやるかもしれないけれど」
　魔侯爵はそういうと、わずかに目を細めた。

＊　＊　＊　＊

　――レイドから数日後。

「これは……何だろ？」
　旅鴉月詠はメールボックスに届いていた主催会社からのメールに気付き、それを開く。と、最終レイドについて絶賛のコメントと、特別なアイテムかスキルをゲットできるチケットについての説明文であった。
　だが、彼女には気になることが。そのメールの最後の方がなぜか文字化けしているのだ。気になり、複数のレイド参加者に話をしてみると、ほかのメンバーに来たメールも同じものであった。

（何なんだろう、この最後の文字化け……）
　夜海霧楓が不審に思い、どうにか調査できないか……と考えていると、トワ・E・ライトフェロゥが首を傾げた。
「んー、なんかこう、見つめていると読めそうな気がするデス」
「そんなことがあるわけ……」
　信じられなかった楓だが、トワと同じようにメールを見つめる。と、その文字化けした部分がぐにゃり、と歪み……一つの文章となる。

《みーつけたっ》

「えっ？！」
　その一言に、メールを読んでいた滝原レオンが変な声を上げる。まるで、耳元で誰かがそういったような声が聞こえたからだ。不審に思い辺りを見渡すも、だれもいない。だが、妙に生々しく残る女性の声に、レオンは表情を険しくする。
「本当に、異世界からの『災厄』が、ゲームの世界を超えてこっちに？」
　レオンは、痛む頭を押さえながら、そのメールを見つめるのだった。

（終）

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