もこもこぬくぬく☆クリスマスの動物たち｜リアクション

もこもこぬくぬく☆クリスマスの動物たち

●制服とクリスマスと受験

　寝子島高校の昼休み。
　初瀬川理緒はねこったーを開いてTLをなんとなく眺める。
　すると、またたび市動物園の話題が流れてきた。

（なんか盛り上がってるわね）

　調べてみると、どうやら動物園では『クリスマスの動物たち』と題してイベントを開催しているらしい。さらに調べるとカップルや友人同士など、複数人で来園すると入園料が半額になるだけでなく、園内での飲食やお土産グッズなども割安になるという。

（これは行くしかない！）

　理緒はさっそく佐和崎紗月に声を掛ける。

「ねぇねぇ紗月」
「ん？　どうしたの理緒ちゃん」
「これ見て」

　理緒は自分のスマホを紗月に見せる。
　そこにはまたたび市動物園のことが載っていた。

「行こうよ！」
「うーん……」
「２人で行けば入園料半額だし。受験勉強の息抜きにちょうどいいでしょ」

　紗月は理緒の誘いをどうするか、少し考える。
　いまは受験まであとわずかという大事な時期だから、勉強を疎かにできない。しかしこれまでの経験上、理緒は適度に息抜きしないと潰れてしまうタイプだということも判ってきた。木天蓼大学なら十分に合格圏内に入っているし、このくらいなら大丈夫だろう。

（根を詰めすぎてもいけないだろうし、今度の日曜日なら大丈夫かな……）

　そう思って紗月が口にしようとしたら、その前に理緒の言葉がかぶさる。

「夜間営業があるっぽいから、今日行こ」
「え、あ、うん」

　少し押され気味に答えたが、嫌な気持ちは無い。
　放課後に一緒に行く約束だけして、２人は自分の席に戻った。

　授業が終わり、２人は制服のまま動物園へとやってきた。
　ここには以前も２人で来たことがあるが、すっかりクリスマスの装いになっており、かなり雰囲気が違う。

（もうそんな時期なんだ）

　紗月は思わずハッとする。
　秋へと変わりつつあったあの頃から、気づけば冬のなかにいる。月日の流れに内心驚いていると、理緒が声を掛けてきた。

「まずはフーちゃんに会いに行こう！」
「ああ、アルパカの……」
「そうそう」

　アルパカのフーちゃん。
　『草食動物・鳥類エリア』で過ごしていて、ご利益のあるアルパカと呼ばれている。さっそく２人はそこへ向かった。着いた先にはヤギや羊などがのんびりと柵のなかで生活している。
　その動物たちの中に、フーちゃんがいた。前に来たときと変わらず元気そうだ。

「フーちゃん、こっちにおいでー」

　理緒の声に気づいたフーちゃんが、顔をあげて近づいてきた。柵の縁までやってきたところで、２人はその頭を撫でる。

「来年の大学受験に合格しますように」

　そうして願掛けをする２人。

「よし、これで来年の受験は合格間違いなし！」
「ちゃんと勉強しようね」
「はーい」

　そう言って笑いあう。

「願掛けもしたし、他のところにもいこう」
「うん」

　それからアルパカだけでなくヤギや羊などを見て回る。通りすがりの２人に興味を持って近づいてくる動物もいれば、無関心に草を食べ続けている動物もいた。
　そんな様子を眺めながらふれあい広場までやってきた。理緒はうさぎを軽く抱きながら撫でる。紗月もそのうさぎのもふっとした体に触れる。なんとなく前回よりも、もふもふ度合いが上がっている気がする。

「すごくもふもふしてる」
「そうだね」

　うさぎの感触を堪能した後は『サル山・水辺エリア』へ。
　そこには白くまのヒース、グリフ、ポールが居た。

「白くまはやはり冬の方がよく似合ってるって感じだよね」
「そうだね。寒いところに住んでるからかな」
「何だかこの前会いに行った時よりも元気そうに見えるし」

　ヒースたちを眺めていたら、アナウンスが聞こえた。

『皆さん、これから特製の氷入りケーキを手渡しイベントを行います』

　マイク越しの声を聞きながら、２人はイベントの様子を見ようと思った。

『そちらの方々もどうぞ』
「え？　あたしたち？」

　係員が手を理緒のほうに伸ばしている。
　イベントへの参加を促され、驚きつつもノリノリで紗月と一緒に白くまのところへ。ケーキを渡すと、嬉しそうに食べ始める姿に理緒と紗月も微笑んだ。
　園内を巡るうちに日が暮れて、夜になった。イルミネーションやクリスマスツリー、リースなどが夜を賑やかにする。

「きれいだね」
「うん」

　美しくライトアップされた園内を２人でのんびり手を繋いで巡った。
　ここで過ごした時間はイルミネーションも霞むような思い出になった。

このページにイラストを設定する

もこもこぬくぬく☆クリスマスの動物たち

シナリオ

シナリオデータ

シナリオスケジュール

参加キャラクター一覧