もこもこぬくぬく☆クリスマスの動物たち｜リアクション

もこもこぬくぬく☆クリスマスの動物たち

●飼育員として

「……ふぅ、寒いですね」

　アーサー・Ｔ・シートンは職場のまたたび市動物園で働いていた。彼は飼育員として今日も動物たちと過ごす。

「それにしても、冬は寒い地方の動物たちが活発になりますね。うちのところですと、シロクマさんやオオカミさんぐらいのものですけどね」

　冬と聞いて思い浮かぶ動物といえば、ペンギンやアザラシなどがいる。しかしそれらの動物はここではなく、水族館のほうで暮らしている。

「あぁ、あとトドさんもですね」

　そう呟きながら、仕事に区切りをつけると大きく息を吐いた。
　彼が担当するのは猛獣エリア。ここではライオン、豹、虎、山猫などが暮らしている。えさをあげたり、住まいを掃除したりとやることは盛りだくさん。

「今は特別な時期ですけど、動物たちはいつも通りです」

　またたび市動物園は『クリスマスの動物たち』と題して、今年の冬はイルミネーションやツリーで園内を飾り、大々的にCMも放送している。その効果もあってか、いつもよりも来園者が多い気がする。しかし、猛獣エリアはいつもと特に変わらない。

「今回もシロクマ舎が賑わってますね」

　白くまのヒース、グリフ、ポールは動物園の看板的存在で、しかもイベントで冬の動物を推している。こうなると人気が集まるのは必然かもしれない。

「わたくし達、オオカミ舎も待ってますよ。しかし、ホワイトタイガーを筆頭としたネコ科猛獣やクマと比べると、人気度も低いのが難点ですかね。オオカミたちの魅力は語り尽くせないぐらいにあるんですが」

　そう言いながらハイイロオオカミのクルトとビアンカを眺める。２匹とも普段と変わらない様子で元気に過ごしている。

「彼らも生き生きとしている感じがしますし、次の命に繋げられるようにしたいですね」

　クルトとビアンカは数頭の仔を成していて、今年も仔を設けているところ。きっとアーサーにも新しい仲間と過ごす日々が訪れるだろう。

「さて、次の仕事へ向かいましょう」

　道具を片付けると『草食動物・鳥類エリア』へ移動する。到着するとスタッフ専用の部屋でサンタの格好に着替える。そして、借りてきたトナカイと一緒に来園者の前に登場する。
　『クリスマスの動物たち』と銘打っているイベントでサンタとトナカイというのは鉄板の組み合わせだろう。アーサーは所定の位置まで移動すると、興味津々な皆さんに声を掛けた。

「本日はご来場いただきありがとうございます。クリスマスイベントということで、トナカイとの撮影もやっています」

　本物のトナカイは珍しいのだろう。人々はカメラやスマホをトナカイに向けて撮影する。

「今日はぜひ素敵な思い出を作ってください」

　アーサーは爽やかな笑顔でそう話した。

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