教えて若人！　流行っている言葉はなんですか｜リアクション

教えて若人！　流行っている言葉はなんですか

「庵さんはどんな流行語が流行ってると思いますか？」
　まゆ先生に聞かれ、メロンソーダを半分ほど飲んだ庵が話し始めた。
「流行語って言うにはもう定着しすぎてると思うけど、『やばい』とかどうですか？」
「あ、それは結構昔からありますよね」
　浅井先生が言う。
「そう、昔から若者言葉として使われてる言葉です。先生方も使ったことあるんじゃないですかね」
　そう言われて、先生方が頷いた。
「でも、じゃあ『やばい』が具体的にどれくらい昔からあるか、知ってます？」
「えーっ？」
　まゆ先生が首を傾げた。
「昭和より昔？」
　あずさが尋ね、
「『やばい』自体はかなり古いですね。江戸時代でしたか」　
　早川先生が答えた。
「そう、実は『やばい』は江戸時代からある言葉です。江戸時代に「矢場（やば）」っていう娯楽施設がありましてね」
「矢って弓矢の矢？」
　武道の問いに、庵は頷いた。
「表向きはおもちゃの弓矢で射的を遊ぶゲームセンターみたいなものなんですけど、実際には矢女（やおんな）って呼ばれる射的の矢を回収する役割の女の子とエッチなことして遊べるっていう、まあそういうのが裏の目的のお店です」
「そうなの？」
　フルーツパフェにスプーンを突っ込みながら驚く翠響。
「で、そういういかがわしいお店にいるところを見つかると具合が悪い、というところから、「矢場に居る」つまり「矢場居（やばい）」が「危ない」の意味で使われるようになったそうです」
「そんな意味があったのか……」
　武道も驚いているが月詠は平然として言う。
「※諸説あります、ってやつですね」
「あ、そうです。他の説も知りたい方は「やばい　語源」とかでネット検索でもしてくださいな」
　そう言って庵はメロンソーダを飲み干した。

「月詠ちゃんが知ってる最近の流行語は？」
　まゆ先生に問われ、月詠が語る。
「最近は『〰️み』が流行ってますね。つらみ、やばみ、尊み、わかりみ……」
「あー、聞いたことあるような。なんで『み』なの？」
「〰️みが深い、つまり『とてもよくわかる』みたいな感じです。他には、『り』で了解」
「すごい省略デスヨネー！」
　武道が言うのに頷き、月詠は続ける。
「『おけまる』『あざまる』が、オッケー。ありがとう。『語彙力』は、語彙力がないのでなんとなく強く言いたい時に」
　コーヒーを飲み干して月詠が続ける。
「『つらたん』『やばたん』は可愛く言ってるだけです。言いやすさはありますが語呂が良ければいいこともあります。『尊み秀吉』『了解道中膝栗毛』『やばたにえん』」
「『やばい』もずいぶん変化したよねー」
　さっきの話を思い出して武道が言う。
「このへん『合点承知の助』とか落語みたいで古文日本史は面白い。言葉に歴史ありです」
　月詠の言葉に、まゆ先生がお手上げのポーズになった。
「いろいろ聞かせてもらったけど……次から次へ新しい流行語が出てきて、いくら追いかけても追いきれないわ」
　そんな先生たちを見ながら月詠は言う。
「若者追いかけるならSNSです。使いこなしましょう」
　早川先生が口を開いた。
「とても参考になりました。古文や旧仮名遣いなど、時代によって言葉は変わってきましたが、人の心はそんなに変わらない。流行語は、表現の幅が広がったと考えるのがいいんじゃないでしょうか。学び続けるのは楽しいですよ」
「表現の幅か……色々聞いてみたけど、結局、しっくり来た言葉なら一昔前の流行語でもガンガン使えばいいんじゃないかなーともおもうけどね。たのしいな、こーゆー話し合いも！」
　武道も笑顔で言った。
「そうね、また機会があったらやりましょうか」
　あずさが頷いた。
　
　気が付けば結構時間が経っていて、寝子島流行語調査はお開きとなった。

　次回はどんな流行語について語られるだろうか。

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あとがき

担当マスター：天村花海／浅野悠希
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大変お待たせしました。代筆の天村です。
浅野マスターのリアクションを拝見したかったのですが、今回は私が書かせていただきました。

流行語をいろいろ考えるの楽しかったです。
先生たちのオーダーや思いついた流行語は私の解釈なので、別の回にはまた全然違ったものになると思います。
またの機会に浅野マスターに書いていただけたらと願っています。

それでは、またご縁がありましたらご参加お待ちしております。

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