秋の青空、きらめく流れ星｜リアクション

秋の青空、きらめく流れ星

　行列に並び、やっとたどり着いた洋菓子店の内装は、期待に高鳴っていたコンノの胸を更にときめかせた。
　こげ茶・クリーム・ピンクの３色でまとめられた店内の壁は、お菓子のような可愛らしさで、時折猫の影が顔を覗かせるという凝りようなのだ。
「店内でも食べられるんだ～」
　こげ茶の椅子とテーブルで、お茶の時間を過ごす客達も、どことなくおしゃれに見える。
　まだ続く行列の中で、コンノは新たな悩みに直面した。
　即ち、店内で食べるか、持ち帰るか、だ。

（もうショーケースが見える所まで来た……輝くスイーツ達……あぁ、早く食べたい！　でも素敵な店内でうっかりして耳とか尻尾とか出ちゃったら……美味しい物を食べ終える前に強制送還なんて絶対にイヤ！）

　テイクアウトにしよう。
　コンノはそう決断した。
　――食べ物を失う悲しみは深いのである。

◆

　温かい飲み物と、スイーツを２つ。
　３つの品物を購入したコンノは、公園のベンチへと急いでいた。
　風の無いこの日この時間帯、絶好の日向ぼっこスポットになっている筈なのだ。
「あっ、やった！　誰もいない！」
　普段ならば猫たちのたまり場となっている場所は、運良く空いていて、座ることができた。
「はぁ～、気持ちいいなぁ」
　ちょうど良く温まっているベンチは、日差しの恵みをたっぷりと味わえる。
　端から見れば単なる公園の一角ではあるが、コンノが見つけた特等席なのだ。
「さてさて、それではお楽しみのスイーツをご賞味といきますかぁ」
　外でも食べやすいようにと、容器入りのプリンと紙に包まれたシュークリームを選んだのは英断だと思うコンノである。
　定番過ぎるなどと言うなかれ、洋菓子店のこだわりは定番にこそ現れるのだ……といううんちくと共に、プリンを口へ運ぶ。
「ふわぁ～」
　一口目は固めのプリンのみ。二口目はスプーンを容器の底まで入れて、カラメルソースと一緒にすくう。喉をすべる感触の次に、鼻に抜ける甘い香り。
「この、ほろ苦カラメルとバニラビーンズの存在感！　はぁ～、最っ高！」
　ぱくぱくとプリンを食べてしまうと、お次はシュークリームだ。
　カサカサと音を立てて紙を半分はがし、口いっぱいにほおばる。
「ふぅ～ん！」
　出来たてから少し時間が経ったので、皮はややしっとりしているが、クリームと程よくなじむ。何より、このシュークリームは生クリームとカスタードが両方入っているタイプなのだ！
「生クリームのこってり感と、カスタードの控えめな甘さ……２つが溶け合うこのハーモニー……」
　一口目を存分に堪能してから、二口目に行こうとすると。
「にゃぁ～ん」
　コンノの足下に猫がいる。数匹がじっと彼女の方を見て、次の瞬間にはたっ、とベンチの上に飛び乗ってきたのだ。
「ちょっと待って、人間の食べ物はダメだよ！」
　コンノはペット用クッキーを袋から取り出した。
「じゃーん、さっきのお店で試供品にってもらったんだよ。ゆくゆくは動物と一緒に来られるお店にしたいんだってさ！」
　袋から出して猫に差し出すと、前足で掴んでカリカリ食べ出した。
「スイーツは美味しいし、猫は可愛い！　これだからネコジマはやめられないんだよね～」
　シュークリームをかじるコンノの前髪を、風が優しく揺らすのだった。

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あとがき

担当マスター：陣杏里
ファンレターはマスターページから！

皆様こんにちは、『フルーツタルト大好き』陣　杏里です。

この度は、グルメ系のアクションを頂きまして、資料などあたりました。
……美味しそうなスイーツばかりだったので、本文中に入れすぎたら文字数多過ぎで、慌てて削りました。
海鮮グルメもうらやましいですな。わたくしカキで有名な某県の出身ではないので、一度は言ってみたいものです。

『カキは飲み物です』とか！

ご参加いただいた皆様、美味しそうなアクションをありがとうございました。
お読みくださった皆様、お疲れ様です。

お互いに美食に縁があることを祈りまして、この辺で失礼いたします。
陣　杏里でした。

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