秋の青空、きらめく流れ星｜リアクション

秋の青空、きらめく流れ星

　老舗洋菓子店の割引券。
　コンノ・グラスハーベルは、入手したそれを見つめ、ぷるぷると歓喜にふるえていた。

（前から気になってたお店の！　しかもリニューアル記念半額セール！　これ、めちゃくちゃお得っ！）

　ふと空を見上げたら、たまたま流れ星を目撃したのでラッキー！　と思っていたら、券を配っている場面に遭遇したという訳だ。
「流れ星のご利益かなぁ、ふふっ」
　券の効果か洋菓子店の前には行列が出来ていたが、ウキウキのコンノは気にしていない。
「あの、メニュー回ってきたのでどうぞ」
「ありがとうございます！」
　前の人から受け取ったメニューを目にしたコンノは、はぁぁ～と感嘆のため息を漏らした。
　定番の苺ショートケーキから始まり、季節のフルーツをこぼれそうな程盛りつけたタルト、シンプルなチーズケーキに、キャラメルソースのかかったエクレア。

（他にもたくさんあるぅ！　どうしよう、どれにしようかな？　楽しい～、けど決まらないよぉ、悩むぅぅ）

◆

「ん？　今見えたのは流れ星かしら……」
　キャリーバッグを引いたアイオ・キャンドライトは、小さな輝きが空を横切った気がして、首を傾げた。
　気を取り直して歩き出すと、昼時のうどん屋の前を通りかかる。
「今なら天ぷら一つ無料、ですって！？　今日もネコジマで楽しめそうですわ！」
　店先に掲げられたのぼりに、ドキドキしながら引き戸を開ける。現れたのは、厨房を中心に天ぷらが並ぶテーブル。そして、その周りに整然と並ぶ客達だった。
「お嬢さん、セルフサービスの店は始めてかい？　まずはこの機械で食券を買って、行列に並んでね」
　店員によれば、冷たいかけうどんもあるそうなのでその券を買う。行列に沿って進むアイオを待っていたのは様々な天ぷらだ。
「あぁ～、美味しそうなものがこんなにたくさん……」
　迷っている間にも行列は進んでしまうので、えいっ！　とばかりに３つ選んだ。えびときのことさつまいもだ。
　天ぷらの会計をすませて席につき、いざ実食。
「ほぅ……っ、熱々の天ぷらも冷たいおつゆに浸すとちょうど良く冷めて、美味しいですわ！」
　たっぷりとつゆを吸って柔らかくなった天ぷらを口に入れると、とろけるような衣と出汁の風味が広がる。
「サクサクのままでお塩をつけて食べるのも……いけますわね」
　さつまいもの天ぷらは特に、甘みが塩によって引き立つのだ。
「ふぅ～、ごちそうさまでした」
　おつゆまで完食したアイオは、挨拶をして席を立った。

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