寝子中の文化祭を盛り上げろ！｜リアクション

寝子中の文化祭を盛り上げろ！

（わいわいしていて、みつえも嬉しくなるですなー！）
体育館の椅子に座り、あたりが暗くなったときは（……うとうとは我慢なのですな！）と思っていたミーツェですが。
　目の覚めるような迫力のダンスに、夢中で手を叩いていました。

「それでは合唱コンクールを始めます。まずは３年４組です。教室での出し物の準備もありなかなか練習の時間が取れませんでしたが、精いっぱい練習しました」
　指揮者の合図と共に前奏が始まり、翠響は息を吸い込みます。
　今日初めて見た曲だなどとはおくびにも出さず、シレっとした顔で。
　出だしもリズムもずれることなく、皆に合わせ器用に歌いました。
　さすが天才肌です。
　拍手と共にステージを降りると、慎之介はご機嫌でした。
「グレイト！　さすが３年４組、優勝はもらったぜ！」
（そううまくいくかな？）と思いつつ、翠響は気になったことを尋ねました。
「ところで、うちのクラスの出し物ってなんだったっけ？」　
　慎之介はニヤリと笑って言いました。
「教室に戻ればわかるさ」　

（どの歌も素晴らしいですな。もっと見ていたいけど、他のところも見て回りたいですな）
　ミーツェは休憩時間に席を立ち、校内を見て回ることにしました。
「可愛いですな！」　
　体育館を出ると、色とりどりのビーズのアクセサリーに目を奪われます。
「手芸部です。普段は展示するだけですけど、今年は販売もしています」
　生徒の説明を聞きながら、ミーツェは悩みます。
「どれも欲しくて迷いますなー」
　お気に入りをいくつか選んで買うことにしました。
　さっそくヘアピンを
　隣へ行くと、今度は色とりどりの飴が売られています。
「味が違うんですかな」
「赤がいちご、黄色はレモン、紫はぶどう、青はソーダ味、茶色はコーラ味です」
「これまた悩みますなー」
　いちご味の飴を買い、食べながら次の店へ向かいます。　
　途中、ちょっときつめの眼鏡の女性を見かけました。
　買い物をする様子もなく、生徒の様子を見つめています。
　ミーツェは知らないことでしたが、それは校長先生でした。
（疲れてるですかにゃ？）　
　ちょっと気になって見ていると、頑張る生徒を見ている女性の眼鏡の奥の目が、ふっと誇らしげな笑みになりました。
（大丈夫なようですにゃ）
　ミーツェは安心してまた買い物を続けたのでした。

　３年生の合唱が終わり、紫も体育館を出て店を見ていました。
　目を上げると、蒼が他の生徒に話しかけられている姿を見つけました。
「すみません委員長、教えてくださいー！」
「はーい！　あ、これはね……大丈夫、先生に許可もらってるわ」
「ありがとうございます！」
（頼もしいわね。忙しそうだから声はかけずにいようかな）
　そう思った紫ですが。

　委員長としてあちこち走り回っていた蒼は、ようやく一息つけました。
（あとは適当に出店やステージなんかを見て回ろうかな）　
　と思っていたら、紫の姿が目に入りました。
「お姉ちゃん」
「蒼。大変そうね」
　笑顔になった蒼は委員長から妹の顔になって答えます。
「もう仕事は片付いたから、適当に出店やステージなどを見て回ろうかなと思ってたとこ」　
「それじゃ、一緒に見て回る？」
「うん、いこう！」
　蒼ははしゃいで紫の手を取るのでした。

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