【星幽塔】第一階層　収穫祭で盛り上がろう！｜リアクション

【星幽塔】第一階層　収穫祭で盛り上がろう！

☆ステージとお化けかぼちゃ転がし

　ティオレ・ユリウェイスは見た目は二十歳の美女、中身は９００歳近い不死不老のほしびとでした。
　長い長い暇な時間を持て余しているティオレは、しばらく遊んで暮らせるだけの金をゲットしたので盗賊を現在休業中です。
　副業の踊り子稼業を適当にこなしつつ星幽塔内部を気ままに旅して、立ち寄った先で収穫祭をやっているのに出くわしたのでした。
「いっちょステージで踊ってみるか」
　露出度の高い衣装を身にまといステージに現れたティオレは、最初から観客の視線の的となりました。
「いいぞー、姉ちゃん」　
「もっともっと！」
　ナイフを用いた妖艶な踊りに、観客の視線と歓声はますます熱くなっていきます。
　それに乗せられ、思い切り過激なまでにティオレはエロく踊り倒しました。
　揺れる胸、くねる腰。
　乱れる髪が舞い、飛び散る汗が光ります。
　女豹のような眼差しを向けたかと思うと、半開きの唇から吐息を漏らし。
　トランス状態に入ったティオレは、最後には衣装のブラをはぎ取って、観客に投げつけてその胸を露わにしたのでした。
　歓声が最高潮に達する中、ティオレはステージの袖に消えました。
「あー、やっちまったか……」
　と我に返ってはっとするティオレ。
　９００歳近いからといって、身体は２０代と変わりません。
　まったく恥ずかしさがなくなったというわけではないのです。
（まあ気にしないでおこう。こんなこと気にしてたら踊り子なんてやってられないし）
　汗を拭きながらそう自分に言い聞かせるのでした。

　しばらく休んだ後、ティオレは服に着替えて祭りを適当にぶらつきました。
　何やら賑わいが聞こえるほうに向かうと、人々が何か大きなものを転がして走っています。
　興味が湧いたティオレは、立っていた看板を見ました。
「お化けかぼちゃ転がし？」
　でこぼこ地面、ジグザグポール、坂道などを巨大なかぼちゃを転がして進み、競う競技のようです。
（おやおや、もうちょっとうまくできないものかねえ）
　などと思いながらしばらく見物していると、声をかけられました。
「姉さんも参加しないかい？　次の参加者が足りないんだ」
「ふうん。暇つぶしにはなるだろう」
　ティオレは参加してみることにしました。
「これが姉さんのかぼちゃだ。機嫌を損ねると噛みついたり体当たりしてくるから気をつけな。なだめればミニかぼちゃ爆弾までは使われないだろうよ」
「何？」
　道理でみんな苦労しながらかぼちゃに向かって話しかけていたわけです。
　巨大かぼちゃを預けられ、聞いてないぞと面食らうティオレ。
　しかしもうスタートラインについており、今更やめるわけにもいきません。
（盗賊や踊りより難しいってことはないだろうさ）
　腹をくくり、ティオレはスタートしました。
　しかし、ちっとも思った方向に転がってくれません。
（結構難しいな）
　おまけに雑に扱うと、いきなり弾んだり逆方向へ転がったり。
　あからさまに機嫌を悪くした様子がわかります。
（面倒な奴だ）だ
　そう思いつつ、結構燃えてくる自分に気づきました。
　かぼちゃに顔を近づけたティオレは、ささやきながら撫でます。
「お化けかぼちゃ、あたしと一緒に一番でゴールに入りたくないかい？」
　すると、かぼちゃの色が心なしか赤くなりました。

　それからは割と順当に……楽とはいきませんでしたが、かぼちゃは反抗することもなく。
　ティオレは見事一位でゴールし、中くらいのかぼちゃを賞品にもらったのでした。

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