敬老の日☆パーティー｜リアクション

敬老の日☆パーティー

●交流で得たもの

　事の発端は七夜あおいが持ってきたチラシだった。

「お年寄り向けのパーティー？」
「うん、そうなの。どうかな？」

　八神修は彼女が持ってきた紙に目を通して内容を確認する。
　どうやら敬老の日に際して、旧市街にある公民館で催しを開こうということらしい。

「良いね、行くよ」

　あおいはその返事に喜びの顔を見せる。そして当日、２人は公民館へ向かっていた。

「パーティー楽しみだね」
「そうだな。それに憧れめいた感情もあるんだ」
「憧れ？」
「ああ。俺には祖父母がいないからかな。話したらどんな感じなのかなって。今から楽しみだよ」

　そうして歩くうちに会場である公民館に到着した。
　なかは飾りつけがされていて、豪華な料理が並んでいる。

（どの料理も美味しそうだ）

　適当なところに腰を下ろして、おじいちゃんおばあちゃんと会話をする。
　料理のお替わりが欲しいという人によそったり、取って来るといった気配りも忘れない。周りを見るとご飯を美味しそうに食べる人、楽しそうに笑っている人。修は敬意を払いつつもその様子を嬉しそうに眺めている。

「これとかどうやって作るのかなあ……」
「それはね……あらごめんなさい突然」

　料理を見ていたらおばあちゃんに話しかけられた。

「若い人と話すなんて久しぶりでつい。今日はありがとうね」

　そういって女性はお辞儀をした。それに合わせて修とあおいも頭を下げた。
　おばあちゃんは料理に詳しくて、色々なことを教えてくれた。出汁巻き卵のコツや、ナスの煮浸しの作り方、赤飯の綺麗な色の出し方など。あおいはそれらをしっかりメモしている。

「とても勉強になるね」
「うん！」
「それならよかったわ」
「あ、そういえば俺達おはぎを作ったことありますよ」
「あらそうなの？」
「はい。小豆、甘くて美味しかったです」

　昔はお手玉の中に小豆が入っていたことなども教えてくれた。折角なので昔の遊びも教わりたいとお願いすると、快諾してくれた。
　おばあちゃんは器用に３つのお手玉を宙に投げては手元に戻す。修やあおいは新鮮な気持ちで見つめ、他の参加者は懐かしそうに目を細める。挑戦してみるが、なんとか拾って投げるを繰り返すのが精一杯で、おばあちゃんのように綺麗に扱うことが出来ない。

「すごいですね……」
「ふふ、ありがとう」

　それからあやとりも教えてくれた。
　おばあちゃんが近くの人とペアを組むと、ひもを指にかけて広げる。それをもう１人がひもに指をかけて取ると、別の形になった。後はテンポよく２人の間をひもが行き来していく。これは『２人あやとり』というらしい。
　その様子に感心しつつ、修はあおいとペアを組んで『２人あやとり』をやってみる。向かい合ってひもを取ろうとすると、意外に距離が近くてちょっとドキドキする。少し照れながらも、感覚が分かってくるとなかなか面白い。
　こうして楽しい時間は過ぎていった。

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