敬老の日☆パーティー｜リアクション

敬老の日☆パーティー

●高身長のいいところ

　羽生碧南は敬老の日パーティーの準備をするために旧市街にある公民館を訪れた。野々ののこと合流すると一緒に会場設営などを手伝い始める。ただ元気いっぱいなののこは、イベントでテンションが上がりすぎて度々予想外なことをやってしまう。碧南はそのフォローに奔走しながらも準備は進んでいった。そしてようやく会場が整い、あとは来客を待つのみとなった。

（色々大変だったけど、まぁなんとか準備も終わった。これで喜んでもらえると良いな）

　人が１人、また１人と増えていき、公民館のなかがだんだん賑やかになってきた。そして簡単な挨拶を済ませるとパーティーが始まった。碧南は料理を取り分けてはおじいちゃんおばあちゃんに手渡す、といった手伝いをする。そうして色々な人のところへ移動していると、周囲の視線を感じる。
　その理由は彼女自身、心当たりがあった。
　この会場にいる女性のなかで、もしかしたら男女問わず全員のなかで一番背が高いかもしれないと思っていたから。身長180センチというのはやはり目立ってしまう。

「お嬢ちゃん、大きいねえ。うちの倅よりでかいよ」
「よく言われます」

　そのため、こんな風に度々言われては無難に返す。ただ普通の女性としては高身長でも、女子バスケ選手としては平均的だったりする。
　参加者に料理を取り分けつつ、自身もその料理を堪能するとカラオケも満喫し、パークゴルフへ出かける。最初はキャディっぽく道具を運んだりスコアを見ていた。しかし、とあるお年寄りの一言で雰囲気が変わる。

「それだけ身体が大きいなら遠くへ飛ばせるんじゃない？」

　その発言を聞いた人々も頷いている。確かに不可能ではないかもしれない。また、そうなることを期待されてるのを碧南も感じて、成り行きでゴルフに参加することになった。
　とはいえ、ゴルフはやったことがない。バスケ部で体を動かしてはいるが、経験が無い以上なんとなくのイメージでやる他無い。

「えーと、スイングする時は、チャー・シュー・メーンって掛け声出すんだっけ？」

　碧南はクラブを握ると、どこで仕入れたかも曖昧な手がかりを元にクラブを振るイメージを模索する。そしてティに載せたボールに狙いを定めると、その掛け声とともに勢いよく振りぬいた。
　クラブにヒットしたボールは強く弾き出されて、碧南のところからだんだん遠ざかる。その綺麗な飛びように周りからは拍手が起こる。碧南は思わず照れ笑いを浮かべた。
　その後、皆でパークゴルフを満喫した。

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