敬老の日☆パーティー｜リアクション

敬老の日☆パーティー

●おじいちゃんという存在

　白石龍樹は敬老の日パーティーのチラシを受け取ると、旧市街にある公民館を目指して歩く。

（俺のおじいちゃんは、とうちゃんのほうにしかいないんだ）
（『おじいちゃんはみんなあんな風じゃないのよ』とかあちゃんは言ってたけど……）

　自分の知っているおじいちゃんの姿を思い浮かべていると、公民館に辿り着いた。中に入ると、もうパーティーは始まっており豪華な料理が並んでいる。賑やかな雰囲気だが、龍樹はどこか落ち着いている印象を持った。

（確かにおとなしいじいちゃんたちが多いな？）

「元気だしていこうぜ！」

　龍樹はおじいちゃんたちの間に入ると、食事に手を伸ばす。

「うめえ！」

　その美味しさに感動して、たくさん口に運ぶ。そして料理の美味しさをアピールしつつ、おじいちゃん達にも勧める。でも彼らはそんなに食べないので、龍樹がたくさん食べる図が出来上がっていた。その姿におじいちゃん達は満足そうな笑顔を浮かべている。
　料理を十分堪能した龍樹はすっかりお腹がいっぱいになった。満足そうにしていると何人か集まって外に行くのが見えた。どうやらパークゴルフをするために公園に向かうらしい。面白そうだと感じた龍樹は靴を履いて、その人たちの後をついていく。

「よし、パークゴルフするぜ！」

　気合を入れようと体を動かした途端、腰に違和感を覚えた。

「あれ？　なんだか腰が……」

　腰をさすろうと手を伸ばすと違和感に気づく。手のひらが大きくなっており、しわがいくつも刻まれていた。

「お、俺、じいちゃんになってる？　早く大人になりたかったけど、歳取りすぎだぜ……」

　普段とは違う体の感覚に戸惑いつつもルールを習って、さっそくやってみる。しかし腕は思うように振れないし、スイングする姿勢をうまく保てない。その間にも自分より若い人たちが体の使い方を覚えていく。実際には龍樹よりも年上だが、今はこちらのほうが年上である。

（くそっ、こういう時はこういうんだよな）

「まだまだ若いものには負けんぞ」

　そう言ってみたものの、想像以上に疲労を感じる。なんとなく悔しい気持ちはあったが、ベンチに腰掛けて休むことにした。すると手伝いにきていた女性が水を片手に龍樹の隣に座った。
　労いの言葉をかけつつ、水分補給を促す。龍樹は素直に水を受け取ると口に含んだ。

（そういえば、じいちゃんだけど、大人なんだよな……。ようし、うちのじいちゃんのまねするぜ！）

　龍樹はそっと手を伸ばすと女性の尻に触れた。女性はやんわりと拒否する意思を示す。

「どうかしたかのお？　最近耳が遠くなってのお。ばあさん、メシはまだかいな」

（いやー、年寄りって怒られなくていいよな♪）

　その後も色々やらかす龍樹。しかし、そうしていたら強面のおじいちゃんが迫ってきた。彼は優しい言葉で龍樹を諭す。

（あ、これ以上はまずいな）

　ここで大人しくしないと本気で怒られそうだと感じた龍樹は、彼の言葉に頷いた。すると彼は強面を崩して、柔らかく微笑んだ。

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