敬老の日☆パーティー｜リアクション

敬老の日☆パーティー

●豪華な食事と懐メロ

　楡宮遠海は旧市街にある公民館を訪れた。きっかけは野々ののこからもらった敬老の日パーティーにチラシだった。その内容に目を通すとカラオケやパークゴルフなどのイベントが載っている。そのなかに、こう記されていた。

『豪華なお料理』
『和洋中その他、大抵のものがあります。自由にいくらでも食べてＯＫ！』

　遠海は豪華料理が振舞われるというところに思いっきり惹かれ、迷うことなく参加を決めた。
　彼女の見た目はほっそりとしていて（胸もほっそりとしているが）、一見すると鎌倉名家のお嬢様然としている。しかしその外見から想像できないような、規格外の大食い女子である。その彼女がこのチラシを見て参加しない理由など無かった。
　公民館のなかへ入ると、ちょうど人手が足りないらしく料理の手伝いに駆り出されることになった。大小さまざまな皿や器を用意して、そこに料理を盛り付けるとテーブルへ並べていく。

（おいしそう……）

　見るからに美味しそうな料理の数々につい手を出してしまいたくなるが、そこは我慢して手伝いを続ける。ようやく手伝いも一区切りついて、公民館のなかはすっかりパーティームードになっていた。おじいちゃん、おばあちゃんだけでなく若い人たちも集まっている。和気藹々とした雰囲気でパーティーが進むなか、遠海は席に着いた。もうお腹が空いて仕方がない彼女は早速料理を口に運ぶ。

「いい食べっぷりねぇ」
「若いモンはこうでなくちゃあなぁ」

　どこまでも食べ続ける彼女に周りのおじいちゃん達は感心していた。そんな様子を見た自称大食いのおじいちゃんが、大食い勝負を持ちかけてきた。遠海が了承すると彼は隣に座り、箸を手に取った。
　何か合図があるわけでもなく、２人がほぼ同時に箸を伸ばす。目の前に並ぶ料理を丁寧に、それでいて豪快に口に運ぶ。料理の美味しさも相まって、２人の箸は止まらない。それでも胃の限界はあるもので、その速度は落ちていき、ついに２人とも箸を置いた。勝負は引き分けに終わったが、おじいちゃんは満足そうな顔をしている。

「大食いは自信あったんだけどな」

　彼は笑いながらそう話す。遠海は彼と互いの大食い武勇伝を語り合い、大いに盛り上がった。十分に食べた遠海は他のおじいちゃんおばあちゃんに料理を持っていったり、昔の出来事から最近の話題まで色々な話に耳を傾けた。
　カラオケ大会では、最初は軽くポップスを歌って、それからおじいちゃん達からリクエストを募ってみた。いくつも曲の名前が出てくるが、大半が懐メロだった。

（懐メロって結構難しいけど、自分の歌唱力が試されるから歌い甲斐あるよね）

　おじいちゃん達は遠海の歌声を聞きながら、当時を振り返るように思い出話に花を咲かせた。

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