激走！　サンマカートＤＸ｜リアクション

激走！　サンマカートＤＸ

☆スタート！　

　寝子島駅前で、小学４年生の曖浜瑠樹は、わくわくしながらレースのスタートを待っていました。
（サンマさんやマンボウくんがゲームでコラボして、寝子島でもレースするから見に来たよぉー！）
「サンマさんもマンボウくんも見ていて和むなぁ……って、あれぇ？」
　眩しい光に目を閉じ、開いてみると、そこはレーシングカートの上でした。
　首を傾げると、目の前のモニターに映ってたペンギンのゆるキャラも首をかしげ……
「オレ、ペンギンさんになってるよぉー！？　そして……ペンギンさん（カート）に乗ってるよぉー！？」
　モニターの映像に添えられた文字は『ゆるふわペンギン号』でした。
　扱いやすい軽量型です。

　中学３年生の仙藤蒼は、『サンマカートＤＸ』の記念カートレースの見物にやってきました。
「わっ、まぶしい？」
　なぜか目の前がまぶしくなったかと思えば、蒼はいつのまにやらカートに乗っていました。
　しかもどういうわけか、トビウオのゆるキャラの姿に。
「これって……どうやらゲームの世界に紛れ込んじゃった？」
（それならそれで望むところだわ）
　何しろ蒼は筋金入りのゲーマーなのですから。
（操縦方法は、うん、わかった）
　レーシングゲームも得意なので、ここはひとつ頑張ってみようと思う蒼でした。
「お食事券が当たったら、お姉ちゃんと一緒にレストランへ行こうっと」

　何が起きたのかゆっくり考える間もなく。
　瑠樹の頭の上に数字が出現しました。
「３、２、……えぇっ？！」
　０、の表示とともに、さまざまなゆるキャラが乗ったカートが一斉にスタートしました。
「ぶつからないよう気を付けて走るなぁ」
　瑠樹も覚悟を決めて、アクセルをふかします。
　
　その近くを、オレンジ色で丸っこい形のカートが走り抜けました。
　メンダコをモチーフのしたデザイン、乗っているのはゆるキャラもメンダコの、中学２年生の多喜美律です。
「夢みたいな光景だけどサンマさん達と遊べるなら、なんでもオッケーよ！」
　ゆるキャラ好きでサンマさんやマンボウくんのファンの美律はノリノリです。
「レースゲーならお兄ちゃん達と何度もやったしイケると思うわ」
　しかし、美律にはちょっと心配なことがありました。
（でもサンマさんとマンボウくん、二人ともちゃんと運転できるのかしら？）
　サンマさんはあの細長い体型ですし、マンボウくんは体型もさることながら気絶しまくりますし……。
「でも勝負は勝負！　負けないわよ」
　気になりつつも、スピードをあげる美律でした。

「この状況に思うことはあるが、賞品はサンマカートＤＸのソフトか……こりゃ優勝するっきゃねーな！」
　張り切っているのは高校２年生の水守流。
　自分の姿を眺めながらつぶやきます。
「俺はくらげのゆるキャラか、あまりスピードでなさそうなキャラになったなぁ……キャラでの性能差がないのを祈るぜ」
　ですが、条件がどうあれ最善を尽くすばかりです。
「さーて、スタートダッシュが肝心だぜ！　全速力でゴーゴーゴー！」
　

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